唐人町ギター教室では、楽譜が読めない初心者の方からプロを目指している上級者まで、現役プロミュージシャンが丁寧に指導致します

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”誕生日”の想い出

 

本日53歳になった。

誕生日プレゼントがほしくて書いてるわけではない。

祝ってほしくて書いてるわけでもない。

ただ、ネタがないから書いている 。

現在ほしいプレゼントはただひとつ『ジストニア症状の完治』。

 

今朝、兄からメールが来た。件名は「はぴば」、、、一瞬なんのことかと思った。

私と違い、現代人として”今を生きている” そんな兄である。

本当は音楽をやりたかったらしいが、子供のころから勉強ができたばっかりに、親から「あんたは勉強。隆二は(勉強できんから)ギター。」と言われ、いまだに根に持ってるらしい。

勉強できんでよかったー(注:プロミュージシャンでも頭の良い人はもちろんたくさんいる)。

 

”誕生日”というワードとセットで、私の脳裏にかならずよみがえる記憶というか想い出がある。

数字に弱いわたしには95年だったか96年だったか、いまいちハッキリしないが、キューバに行った時の話である。

 

あれはたぶん5月だったと思うが、赤道直下の国キューバはとにかく暑かった。鹿児島や沖縄の日差しと似ていて、暑いというより日差しが「痛い」感じとでも言おうか。食事はおいしくなかったが果物は絶品。ジャンルの垣根がなく音楽を楽しむ人々であふれている、今思い出しても素敵な島国だった。

肌を突き刺す日差しをよけるため、福田先生ほか数名で入ったカフェ。木陰のテーブルに席を取り、心地よい木洩れ日を感じながら、全身でハバナの空気を満喫していたその時、筋肉マッチョな一人の巨漢が我々のテーブルにやってきて腰かけた。と同時に、手にしているヌンチャクをドスンとテーブルに突き立ててジャイアンさながらにこう言った。「きょうはオレの”誕生日”だ」

 

「目をあわすな、目をあわすな」 福田先生が小声でつぶやいた。

事態を把握したみんなのあいだに緊張が走り、それから永遠に続くかのような、言葉の無いひきつった作り笑いの時間、、、。ジャイアンは微動だにせず、ひとりひとりの顔をにらみつけた。そよ風の吹く爽やかな時間が過ぎてゆく。まるで武満作品に漂うような、あまりにも美しく静かな時間、、、ジャイアンの存在を除けば。

タカリに来たジャイアンが、あきらめて腰を上げるまで時間にして5分ほどだったろうか。われわれには5時間に匹敵する体感時間だった(日本からトンファーか三節棍でも持ってゆけばよかったのか)。

 

あのキューバ危機以来、私にとって”誕生日”というワードは、ジャイアンとヌンチャクがセットで思い起こされるものとなってしまった。

 

今日のレッスンはヌンチャク持っていこうかな。んでもって生徒さんに言おうかな。

「きょうはオレの”誕生日”だ」

 

2024.02.16.

 

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“”誕生日”の想い出” への8件のフィードバック

  1. 木下尊惇 より:

    Feliz cumpleaños!!
    Joyeux anniversaire!!
    お誕生日おめでとうございます!!

    キューバのジャイアンにHappy birthdayを歌ってあげれば良かったですね!!
    何か言われたら「俺たちはプロの音楽家だ! これ以上歌わせたら高くつくぜ!!」

    • 松下隆二 より:

      木下 尊惇さま
       
      さすがマエストロ!
      木下さんのボリビアンスタイルだったらそのすべてがサマになりますね(笑)
      僕だったら震える声で息も絶え絶え唄うことになると思います。
       
      5月の半ば、元気でお会いできますように!

  2. ちょうちょ より:

    お誕生日おめでとうございます

    • 松下隆二 より:

      ちょうちょさま
       
      ありがとうございます。
      なんかブログで大々的に誕生日宣伝してしまって恐縮です。
      やっぱり祝ってほしい心理が働いたのか?(笑)

  3. 吉本孝夫 より:

    松下先生
    大変ご無沙汰しております。 ギター挫折高齢者の吉本です!  
    いつもブログ楽しく拝見しております。 ジストニア以外はお元気ですね! 
    誕生日おめでとうございましタ!

    小生は変わらず歌っております。 加来先生からドイツリートを中心に、また男声合唱団では少ないメンバーですが楽しくやっております。 今は信時 潔先生の沙羅を歌ってます。
    フロイデは昨年退団したんですが先日、旧友に強引に引き戻され8月のコンクール要因として復帰しております。 自由曲はブルックナーのミサからCredoと課題曲はジョスカンデプレのAve mariaか西田幾多郎先生の詩に團伊玖磨さんが作曲した七里ヶ浜いずれかですがどちらも重い(笑)
    先生のお話をまた聞きたいといつも懐かしく思っております。 ギターやないんかい!! また、演奏会に顔出します!!!

    • 松下隆二 より:

      吉本 孝夫さま
       
      ギターやないんかい!!(笑) いえいえ、コメント頂けただけでうれしいです。
      歌のご活動、充実されてあるみたいでなによりです。フロイデ退団されたのですね。団としては吉本さんのお声が無いのは痛手でしょう。
      こちらはボチボチしか弾けませんが、最近は楽譜の音を解体して自分用に再構築するという、クラシックの世界では絶対に許されない言語道断なことを、ギター曲に関して全く躊躇なくできるまでに図々しくなりました。
      吉本さんからしたらまだまだ(というかいつまでも並行して)若輩者ですが、これからも音楽と楽しく関わっていきたいと思っています。
      それではまたいつかお話でも(ギターやないんかい!!)。

  4. 村田陽子 より:

    キューバのジャイアンにマエストロ木下のボリビアンスタイルお返し、想像しただけでキャーッ💘カッコイー😍5/18が楽しみです😊

    • 松下隆二 より:

      村田 陽子さま
       
      ボリビアンスタイルとも言えるし、一歩間違えば昭和スタイルとも、、、。
       
      来月はマエストロ共々お世話になります。
      「遠いから」と言って来なかったひとを後悔させてやるぜ!(笑)

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