唐人町ギター教室では、楽譜が読めない初心者の方からプロを目指している上級者まで、現役プロミュージシャンが丁寧に指導致します

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練習のポイント(その3)

 
ついに2014年最後の月に突入しました。今年も残すところあとひと月。
ここでちょっとCMのコーナーです。年末から年始にかけてのわたしのライヴ・スケジュール
を、、、。
 
*十二月十八日(木)「アクロス福岡フロアコンサート」
毎月開催され、今回で381回を数えるこのコンサートシリーズ。
オカリナ&ケーナ奏者の和田名保子さんとアクロス・コミュニケーションエリアに於きまして
12時15分から13時まで45分間演奏。和田さんお得意のフォルクローレやオリジナル・
ナンバーをとりあげます。何と入場無料!
 
*十二月二十三日(火・祝)「松下隆二ギター教室発表会」
唐人町商店街の中にある“甘棠館Show劇場”に於きまして午前十時よりスタート。
独奏のほかにも重奏や合奏など、生徒さん達に日頃の練習の成果を発表してもらいます。
そしてゲスト演奏には若手演奏家のリーダーとしてここ近年、八面六臂の活躍を見せる壇はるか
さん(みやま市在住)をお迎えし、三十分ほどのソロ演奏を聴かせていただきます。
こちらも入場無料!おたのしみに。(13時頃終了予定)
 
*二〇一五年一月十五日(木)「 The DUO /鬼怒無月&鈴木大介」
来年年明け第一発目はなんとコレ。
ジャズ&クラシック・ギター界を牽引するあのお騒がせなふたりが東京からやってくる!
場所は箱崎水族館喫茶室(間近で見るチャンス!)。19時開場の19時半開演。
そして何と今回スペシャルゲストとして、 わたしの憧れのジャズ・ギタリスト田口悌治さんが
お二人のご指名により登場!!(わたしもつつましく登場、、、)
素晴らしい夜となることでしょう。詳しくは当ホームページのコンサート情報をご参照下さい。
 
*二月十四日(土)「たしかなこと/愛川智子&松下隆二」
ああ、来年は年明けから何と中身が濃いのでせう、、、。
わたしが心から尊敬する先輩ミュージシャンのおひとり愛川智子さん(シャンソン歌手)と夢の
共演でございます。
中央区春吉にあるコットンクラブカフェにてお昼のライヴ。
ヴァレンタイン・デーのこの日、“癒し”でも“エンターテインメント”でもない、「真にハートを
揺さぶる唄」を聴きにきませんか?ご予約はわたくしまで、、、。
 
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連載を続けております「練習のポイント」シリーズ。わたしの「チョー個人的本音」ばかり
書いてる割には意外と好評で(まあ「つまらない」と思う人は本人には言わないだろうし、
そう考えれば好評なのが当然というか何というか、、、)おめでたいわたしは気を良くして
三回目に突入したいと思います。
 
 
前回は「部分練習」をやるにあたっての具体的なポイントを整理しましたが、今回は「通し
練習」なるものの意義について考えてみたいと思います。
 
 
「通し練習」は一日に何回もやってはいけません。
なぜでしょうか?理由は二つあります。
それは何回もやる事によって「表現を固めてしまう」もうひとつは「安心してしまう」から
です。
 
 
わたしの場合「通し練習」=「その日の本番」だと考えています。
家で弾いている時も「日々これ本番」。つまり一回ないし二回の本番を“緊張感の中で弾く”
習慣をつけることが大事だと思います。
“本番の日は家で弾いてるかのようにリラックスして弾きたい”ということを考えてる人もいます
が、まあ無理な話です(笑)。私もいつの日かそのような心境になる事を夢見ていましたが、
「舞台」という場所は必ず緊張します。
 
 
だから発想を変えて、普段から“緊張した状態”で弾けるように訓練しておく事が大切なのです。
そう考えると、何回も「通し練習」を繰り返すことがいかに弊害が多いかお分かりいただける
ことでしょう。
 
 
もうひとつわたしが重要だと思っていることは、「通し練習」というのは自分にとって最も
“悪条件”のなかでやる方が良い、ということです。
例えば朝起きて、まだ身体が起きていない状態で一曲通す、、、。寒い外出のあと帰ってきて
手が冷え切った状態で一曲通す、、、。
その“最悪条件下での演奏”こそが「自分の真の実力」だとわたしは捉えています。
本番を自分にとって最高のコンディションでむかえられたら、それはとてもラッキーな事です。
でも統計的に考えると、そうでないことの方が圧倒的に多いのです。
だったら「自分の最高のコンディション」を狙うより「自分の最悪のコンディション」のレヴェ
ルを底上げする方をわたしは選びます。それはもちろん人それぞれですが、、、。
 
 
今回冒頭に、「通し練習」を何回もやらない二つの理由のうちのひとつとして
「何回もやる事によって“表現を固めてしまう”」
ということを挙げましたが、このことについて述べることで今回は終わりたいと思います。
 
 
何回も「通し練習」すると“ここはフォルテで弾く”とか“ここはリタルダンドする”ということに
対して、ただそれを同じように毎回やる事を目指すのみで、その事本来の意義を次第に忘れ、
楽曲のストーリー展開や構成・構造に意識がいかなくなりがちです。
結果、音の表情はこまかくつけているにもかかわらず、音楽に“リアリティ”や“生々しさ”が
欠ける演奏になってしまいます。
 
その場に対して自分が出した音にその場で触発され、つぎの音が紡ぎだされることで、初めて
リアリティは出てくるものですが、演奏している場と一切関係なく、ただ自分が練習してきた
通りに間違いなく進めるだけだと、演奏は傷がなくても、音楽は死んでしまいます。
(あっ、いかん、、、。発表会に臨む生徒さんの為のエッセイだったのに、いつの間にかプロ
育成モードに入ってしまった。こんな私を誰か止めて~!)
 
 
つまり結論を言いますと「通し練習」は一日2~3回にとどめ、必ず緊張した状態でやること。
ただし音のリアリティを探りながら、毎回“違う表現”を探そうとする人は「通し練習」を何回
やっても大丈夫です。
作曲家・ピアニストの高橋悠治さんがおっしゃっているように、《練習というのは
“Practice”「実践」であり、それは本来“一回限り”ということ》です。
純粋な意味での「反復練習」が音楽に取り入れられたのは“近代以降”(歴史として非常に新し
い)ということを頭の片隅に置いていて下さい。
 
(つづく)
 
 
 

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