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What’s 努力?

 

秋ですねえ みなさん・・・

ここ最近 出歩くことも減り 秋の夜長は音楽聴いたり You tube 観たりして過ごすことが増えたけど 実は私が登録している You tube チャンネルはごくわずかである イヴァン・リンスのギタリストを務めていたレオナルド・アムエドのチャンネル わが師、故アルベルト・ポンセの動画チャンネルほか 数えるほどしかない

その数えるほどしかない中に 日本人にしてかつて世界チャンピオンまで昇りつめた3人の元ボクサーがやってる<渡嘉敷勝男&竹原慎二&畑山隆則 公式チャンネル>というのがある

この御三方の飾らない本音トークが好きでよく観ているのだが 先日観たのは面白かった

視聴者からの質問に三人がかりで答えるという企画で 最初の質問が

”世界チャンピオンになるには《素質》と《努力》 何割の分配だと思いますか?”

 

これに対する答えは もちろん三者三様なのだが 他の二人を遮るように 畑山チャンプが以下のことを力説し始めたのだ

「素質が10割!」「パンチ力であるとかスピードであるとか反射神経であるとか こういうのは素質じゃないですか」「で、”努力”これ絶対大事じゃないですか」「努力できるのも才能なんですよ!だから素質が10割って言ってる」「努力ってのはできない人いるんですよ」「努力も才能のうちの一つです」

これに対し あとのふたりの意見は

「君の言うのは 一括りにし過ぎだって」「素質と努力を 今は分けて考えなきゃ」というものであった 

確かに多少 変化球気味ではあるものの 畑山チャンプの言葉は この話の本質に肉迫しているように私には感じられ このまま葬り去ってしまうには 惜しいものを感じた

~~~~~~~~~~~~~~~~~

彼の言うように「努力のできないひとはいる」のだろうか 私にはわからない

わからないが「どのように努力すれば実を結ぶのか が分からない」というひとは結構多いのではなかろうか(私もその一人)

そのとき重要になってくることは 「いかに自分の状態を客観視できるか」だと思うが ギターに限って言えば ”弾く”という動作や作業に追われ 弾いている最中の 自分の音や動きを客観視できない人は確かに多い(私もその一人か・・・笑)

 

しかしこういう話になったときに 正直いつもある違和感を抱えている

それは何かと言うと ”努力”という言葉に 世の中すでに ある種のイメージが出来てしまっていること

《努力=やりたくないことを無理してやってるさま》 みたいな・・・

 

だが実際どうなのだろう 素晴らしい能力を持ってる人は それらの能力を身に備える過程で いやいや無理しながらやったのだろうか?

むしろ楽しくてワクワクして仕方がない という状態で取り組んだ結果ではなかろうか?

その過程を傍から見た人は そのさまを”努力”と呼ぶのかもしれないが それはイヤイヤやって実を結ぶようなものとは 本来違うのじゃなかろうか・・・そう考えると 物事に習熟するには”努力する”かどうかよりも 興味や好奇心をもってそのことと向き合うかどうか の方がたいせつだという気がする

 

ついでにもうひとつ言うと たとえ目の前のことに飽きても 別なことに興味と好奇心を持つことさえできれば そのひとは ひととして輝き続けるんじゃないかな 秋の夜長にふとそんなことを考えた

 

たゞ飽きることだけが、能力だつた―
 あきた瞬間 ひよつくり 思ひがけないものになり替る

折口信夫~「生滅」より

 

2021.10.10. 

 

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