唐人町ギター教室では、楽譜が読めない初心者の方からプロを目指している上級者まで、現役プロミュージシャンが丁寧に指導致します

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しずかな小品集(その2)

 
去る2月2日の自主企画イヴェント”しずかな小品集”の内容について、ごく簡単に触れておき
たい。
うちの教室で教本を2冊終えたくらいの生徒さんを対象に、全21曲からなる手作り感満載の
非売品曲集を作ったのである。そのささやかな冊子の選曲コンセプトは、、、
 
*速いパッセージやアルペジオなどの難しい技術を必要としない曲
*極力みじかい曲(一曲の演奏時間が40秒~2分半規模)
*ギター演奏の魅力のひとつである”音色の探求”がしやすい曲
 
以上3つの観点から、著作権にかからないものを含めて選んだものである。
この曲集を配布し、「どういった感じの曲が入ってるか?」を知っていただく為、わたしが
全21曲を実演する、、、というのが2月2日の会だったのだが、ふたを開けてみると予想以上に
”教室外”のお客様からのお問い合わせが多く、冊子の増刷を余儀なくされた。もちろんそれは
嬉しいことであり、当日お越し下さった皆様にこの場を借りて心から感謝したい。
 
 
つまり会場ではプログラム代わりにお客さんが譜面を手に聴くという、いわゆる普通一般の
”コンサート”とは違う種類のイヴェントだったわけだが、予約の時点でその内容に関しては
事前に説明し、お客様の了承を得てはいた。
 
 
そして今回のブログの内容は、その後日談を軸にしたものである。
「単純にコンサートとして楽しめた」
「弾いてみたい曲が見つかった」
などの感想と共に、幾人かの生徒さんから言われたのがこれである。
「先生が弾くからああいうふうになるのであって、あの楽譜を私が弾いても、ちっともああいう
感じにならない」
これは終演後、一緒にお茶を飲みに行った仲間のプロミュージシャンからも同じ指摘を受けた。
まあ、そうであろう。
だがその感想、実は予想していた。
そこでレッスンが意味を持ってくる。すなわち、、、
「ここに書かれたこのシンプルな音符を充実して演奏するために、わたしがなにを考え、なにを
感じているのか」
このことを生徒の皆さんに伝えるチャンスが生まれるのである。
もちろんそれは正解などではない。あくまで曲との向き合い方を充実させるための”私個人の
やり方”である。
つまりわたしが一番言いたいことは、「演奏で充実するかどうかは、選曲が問題ではなく
”取り組み方”」だということ。
 
 
「先生が弾くからああいうふうになるのであって、あの楽譜を私が弾いても、ちっともああいう
感じにならない」
レッスン時にこの感想を口にされた生徒さんのおひとりと以下の会話になった。
「そうですね。演奏で充実するためには、やはり目の前の曲にどうアプローチするかが大切に
なると思います。ちなみに僕は”ちょうちょ”のメロディーのみを単音で弾くときでも全然
退屈しません」
「えっ?ちょうちょって、あの”ちょうちょ”ですか?」
 
 
とりあえずいったんここで話を終える。
次回はこのあたりをテーマにしてみたい。
 
2020.2.19.
 

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“しずかな小品集(その2)” への2件のフィードバック

  1. S.Hongou より:

    技術が難しくないから音楽に専念できる。
    当日に先生のおっしゃっていた言葉を、トリオ仲間で話題にしておりました。
    貴重な曲集から弾きたい曲を選び、弾かせていただくなかで、フレージングや音の成り立ちをお教えいただくと、小さな曲に込められた作曲家の気持ちが、僅かながらに指先に触れるようで、一音一音に気持ちをこめたくなりました。
    譜面を手に楽曲を楽しみ学ぶ。
    得がたい機会、ありがとうございました。
    私は単音の曲も二声の曲も大好きです。
    そこに、自分の根っこを感じつつ、いつかは「大曲」を弾きたい、と思う時もあります。
    貴重なご企画、ありがとうございました。

    • ryuji より:

      S.Hongouさま
      いつもコメント戴きありがとうございます。
      合奏やアンサンブルにおいて《少ない音数》や《低音の連打》を持て余すひとほど、複雑な独奏曲にしがみつく傾向があります。
      結局シンプルなものと向き合った時ほど、音を活き活きとさせるネタをどのくらい持っているかが問われていると思いますね。

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