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しずかな小品集(その1)

 
昨年末あたりから年明けにかけて演奏の時の感覚が変わりつつある。
 
 
だがつい先日の自主企画イヴェント『しずかな小品集』を終えたあとで自分におとずれたものは
どうもこれまでとはさらに一段階違う感覚である。この企画を終えた後で強く感じたふたつの
ことのうち、ひとつを今回は採り上げたい。
 
 
今回痛絶に感じたのは、ギタリストとして自分がいかにへたくそであるかということ。
もちろんそれは毎度のことであり、真新しいことではないのだが、今回おもしろいのは
「へたくそだなぁ」「でもへたくそでいいんじゃない?」
と本気で思えた事。
 
 
これまでは自分のヘタさ加減を認識しつつ、だからこそ
「もっとうまくならなきゃ」「どうやったら技術やメンタルが安定するだろう?」
ということばかり探求してきた。
ただ今回のイヴェントを終えて、
《へたくそな演奏でも、聴いてる人に”すてきな曲だ”と感じさせることは可能》
だと確信できたのである。この感覚はいままで実感できたことが無かった。
 
 
”うまいかへたか”
これは演奏家個人のパーソナルな問題。
だが、へたくそなままでも、その曲を愛することによって、パーソナルな問題というものは
越えてゆける。
うまくもないのに人前で”うまいギタリスト”たらんとしてきた自分に、49歳の誕生日を目前に
した今、ようやくサヨナラ出来そうなのである(ふう、ながかった、、、)。
これからはへたくそなまま、人前でばんばん弾いてゆく。
 
 
「いや、お金とっているプロ意識として”へたくそ”を肯定しちゃダメでしょ!」
というひとも居て当然である。
だが私はこれからそのひとたちと同じ土俵にはいない。
それを決めるのは、他の誰でもないじぶんなのだ。
 
 
余談ではあるが、ここ数カ月これまでにないくらい基礎練習を毎日つづけている。
今までと違うのは、義務感がなく、それが単純に楽しいと思えること。
”へたくそでいい”
”技術練習が楽しい”
このふたつが同居しているのが自分のなかでの一番の新感覚と言えるかもしれない。
 
(つづく)
 

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“しずかな小品集(その1)” への2件のフィードバック

  1. S.Hongou より:

    「愛に溢れていたね」
    80代男性。
     
    全ての曲が、聞いている人に、そうしてその曲を作った方への「敬意」と「愛」に溢れていたと感じたそうです。
    ひたひたと染み込んでくる時間と音楽でした。
    次回のブログを、お待ち申し上げます。

    • ryuji より:

      S.Hongouさま
      なんだか大変恐縮且つ大変うれしいです。
      会場の件も大変お世話になりました。
      ギターを愛好する皆様の目線と自分の目線とをすりあわせた企画を今後も考えてゆきたいです。

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