唐人町ギター教室では、楽譜が読めない初心者の方からプロを目指している上級者まで、現役プロミュージシャンが丁寧に指導致します

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ヘヴィメッタ斬り!?(その2)

 
今回このようなテーマになってしまったのにはきっかけがある。
クラシックギター教室の講師として月に6回、レッスンにかよっている福岡市内の
『Y楽器店』、、、。
店内では楽器や機材のほか楽譜や音楽関係の書籍も取り扱ってあり、レッスン時間の合い間に
立ち読みするのが私の常であるが、先日レッスンに行った折に書棚に新入荷されたばかりの
『高崎晃自伝   雷神 Rising /リットーミュージック』
が目にとまった。
高崎氏は言うまでもなく日本を代表するヘヴィーメタルバンド「ラウドネス」のギタリストで
昭和後期から現在に至るまで世界を股にかけ第一線で活躍し続ける、いまだバリバリの現役
ミュージシャンである。
何気なく手にとり全部立ち読みし終えたあと書棚にもどしたが、やはり申し訳ない気持ちになり
ちゃんと購入した(当然だろうな、、、)。
わたしがヘヴィメタを聴かないことは前回も触れたし、ラウドネスの曲も実は二曲しか知らない
が、そんな私が個人的にこの本にひかれた理由はいくつかある。
 
 
ひとつは音楽業界のはしくれにいる人間としてのわたしが『LPレコードでアルバムを
リリースしたことのあるミュージシャン』を無条件で尊敬している、ということがある。
若い人たちにはピンとこない話だと思うが、誰でも(もちろん私も含めて)気軽にアルバムを
自主制作で作ることが出来る世の中になったのは本当にごく最近のことなのである。
ラウドネスがデビューした1980年代はCD以前のLPレコードの時代であり、その頃アルバム
を発売できるミュージシャンなんてのはごく一部の「ひとにぎりの人達」に限られていたのだ。
このことはギターの業界でも同じであり、そうであるがゆえに阿部保夫、渡辺範彦、荘村清志、
山下和仁、山口修、福田進一、木下尊惇(以上敬称略)といったギタリストは私の中では別格
の存在なのである。
 
 
さらにもうひとつ、わたしが興味をそそられたのは『80年代』という時代である。
その十年間を私は小学校高学年生、中学生、高校生として過ごしたのであるが、この自伝に
記されている「当時のトップアーティストから見た当時の音楽業界の様子」を是非知りたかった
のだ。
自分が過ごしていながら自分が体験できなかった『80年代』という平行宇宙にもどりたい、と
いう願望である。そのほうが自分が体験した過去にもどろうとするよりはるかに面白いものが
ある。
 
「日々の仕事は、ロックバンドというよりは完全にアイドルだった。ミッシェルとかポッキーとか、全員がそういったニックネームで活動していたこと自体からもそれは察してもらえるはず。」
「まさに俺らは、かつてGSだった人たちに囲まれていた。」
「GSに関わっていた大人たちには、自分たちの夢を俺らに投影していたようなところもあったんじゃないかという気がする。」(ラウドネスの前身バンド、レイジーでデビューした当時を振り返って)
 
 
そして読み進むうち、なんと唐突に出てきたのである。
「80年代のアメリカ進出後、マネージメントの中下さんに『おまえちょっと、クラシック・ギターを習いに行ってこい』と命じられて、当時NHKの番組でギターを教えていた荘村清志さんという方のところに習いに行っていた時期があった。結果的にはNHKから出ている教則本のすべてを1ヶ月でマスターして、すぐに辞めてしまったんだけれども。」
「荘村さんは一度、NHKホールでのラウドネスのライヴを観に来てくださったこともあった。ただ『耳がヤバい!』と言って15分ほどで帰ってしまったそうだけれども。とはいえ、あの頃に荘村さんからいろいろと教わったことによって、自分のなかで矯正された部分というのも確実にあったはずだと思う。」
 
 
高崎さん、リットーさん、長々と無断引用すみません、、、。
無断引用のついでにこの本の中で最もカッコイイと感じた一言を紹介して今回は終了。
 
「やっぱりロックというのは、生きざまだと思うからね。ロックじゃないやつがロックをやろうとしても、それはロックにはなり得ない。ロックな人というのはスーツを着たサラリーマンやスポーツ選手の中にもいるし、そういう人は、見ればロックだとわかる。逆に、長髪で、化粧をしていて、それらしい服装をしていようと、その人がロックだとは限らない。」
 
(つづく)
 

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“ヘヴィメッタ斬り!?(その2)” への4件のフィードバック

  1. 江島正剛 より:

    『この本の中で最もカッコイイと感じた一言』を読みつつ、
    以前から思っていることを自分の中で再確認しました。
    やはり僕の中で松下隆二は『ロック・ギタリスト』だと。
    紡ぎ出される音色がどんなに深くて優しくても、
    根底にあるロックな生き様は隠せませんよ(笑)。
    ロックな人だからこそ、あの深い音が奏でられるとも思っています。

    • ryuji より:

      江島正剛さま
      ぎくっ!
      あ、ありがとうございます。
      そういえば昔(20代のころ)福田先生にも言われたことがありました。
      「お前の中の本質的なものはアグレッシヴなものだよ」
      『ロック魂』って一体なんでしょうね?
      僕が思うに多分「周りから無視されても平気でいられる強さ」のことじゃないかなあ、、、。
      それでいて完全無視されると不安でオロオロする弱さも併せ持つ、といった感じの、、、(笑)。
      わけの分からないことばかり言ってごめんなさい、、、。

      • 江島正剛 より:

        福田先生の『アグレッシヴ』というお言葉も納得です。
        そして僕が思うに松下さんは外向的にではなく、
        内向的に強烈にアグレッシヴなんだと。
        そこがロックなんだと思います。
        僕もわけ分からないですね(笑)。
        すみません。
        そしてロック魂とは…
        長髪じゃないですかね?(笑)
        ちなみに僕にはロック魂はありません。

        • ryuji より:

          げらげら、、、。長髪っすか、、、。
          「内向的にアグレッシヴ。そこがロック。」なるほど!
          非常によく分かります。
          誰に頼まれるわけでもなく、意味もないとは思うけど、この火は守り続けたいものです。

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