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WHAT'S SENSE?(その1)

 
わたしは仕事を抜きにして付き合う、いわゆる“親友”と呼べる人が本当に少ない。
だがそれでいいと思っている。友達付き合いは“数”ではなく“質”だと思っているからだ。
 
そんな数少ない親友のひとりにSくんがいる。彼とは20年以上の付き合いになるが、私の
地味でシンプルな歩みに比べると、彼の人生はまさに紆余曲折。様々な経験を重ねながら自分で
会社を立ち上げ、社員を抱えて多忙な毎日を過ごしている。
ちなみにその会社「core Factory」ではメインの業務として“ホームページの
制作”を手がけており、私のこのホームページも全面的に彼のお世話になっている。
Sくんは年齢こそ3~4つ年下だが、私より遥かにしっかりしており、彼との会話をきっかけに
いろんなことを考えさせられる。
 
 
数ヶ月前、一緒に食事をしていたときの事だ。
話の中で「社員に“仕事の要領”を飲み込ませる事の難しさ」について彼が触れた時、私は
ふと聞いてみた。
「他者に対し“センスの良し悪し”について教える事が、どこまで可能だと思うか?」
彼の返答はおもしろかった。
「“センス”という言葉はボク嫌いです。」
 
 
 
未熟な社員を鍛える時、彼は模範になるものをサンプルとして見せ、「まずこれをそっくり
真似して作ってみろ」と言うそうである。そのとき彼の中ではっきりしている事のひとつと
して、「やってる人間が違えば、“完全コピー”など絶対に無理」という前提がある。
だから“没個性”などと要らぬ心配をせずに、安心して“完全コピー”を目指してみろ。コピー
出来たかどうかなどは関係なく何かがそこから学べるはずだ、、、。
 
 
これは音楽においても非常に共通する話なので私は大いに納得できる。
ところが多くの人がそのやり方に躊躇するらしい。
「私の個性はどこ?」「私にセンスがないから“完コピ”をさせられているのかな?」「自分の
センスで勝負したい、、、」
つまりそんな状況で“センス”“個性”といった言葉は「自分の尊厳」を守る為のお守り札として
使われる。だが「自分の尊厳」「自分のやりがい」は「お客様の気持ち」よりも優先されるもの
だろうか?
バランス感覚の必要なところだ。
 
 
ちなみに以上の会話から、私が“SENSE”という言葉を使うとき、それが「自分のやりたい事」
と「他者から見てどうか?」の“バランス感覚”のことを意味していることに気がついたのだ。
 
(つづく)
 
 

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