唐人町ギター教室では、楽譜が読めない初心者の方からプロを目指している上級者まで、現役プロミュージシャンが丁寧に指導致します

Blog

近景、そして遠景

 
人と人との距離感というのは不思議なものだ。
 
むかし自分の近くにいて今現在自分の遠くにいるひと、、、。
そういったひとの“存在”が、時をおいてふたたび近づいてきたことで引き起こされる
「今の自分」と「過去の自分」のすり合わせ作業、、、。
「時の隔たり」を感じさせる場合もあれば、それを全く感じさせない“再会”もある。
その意識の差はいったい何処からくるのだろう、、、。
 
 
フランスから帰国して日本でクラシックギタリストとして活動を始めたのは24才の時だった。
たびたびブログで触れてきたように、私はいわゆる“神童”ではなかったし、クラシックギターに
関してはマイペースでぼちぼちと練習していた。高校時代からのめり込んでいた“バンド活動”
のほうが当時の「関心の比重」としてはるかに大きかった。
 
 
そのころ友人から、「音楽と舞踏、そして詩の朗読のセッション」に誘われ、時々参加しては
フリーな即興演奏をやったりしていた。
そこに出入りするひとは様々だが、当時のメンバーの中に倉地久美夫さんというミュージシャン
がいた。ギターの弾き語りで非常に個性的なオリジナル曲を披露し、みんなの中にいつも強い
印象を残すという点では抜きん出ていた(当時CDを何枚か出されていた)。
クラシックギタリストとしてのわたしに多少興味を持たれ、レッスンを希望されたので何ヶ月か
レッスンをさせて頂いた。当時の私は倉地さんのCDを愛聴し、あの時期われわれは近い
距離の中に居た。
 
 
それから18年後の今日、私にとって長らく遠景にいらっしゃった倉地さんが突然視野に入って
きたのだ。自宅レッスンの合い間にパソコンをいじっていたら、倉地さんのロングインタビュー
が目に留まったのだ。なんと倉地さんの活動を追いかけたドキュメンタリー映画が出来た
らしい。
すごいじゃん、倉地さん!!
そしてそのインタビューを読んでいると、「むかし習った先生」の話のなかに何と私のことが
載っているではないか(インタビュー中部よりやや下)。
しかも内容的には思い当たらない話ばかり、、、(笑)
だがあちらの目から見れば、私はそのように見えていたんだな。それはあちらにとっての真実
だから別に否定する事もないよな、、、。
 
 
誰かが言っていた。「誤解の無い理解なんてありえない。偏見の無い意見が無いのと同じ
ように、、、。」
倉地さんの語った“私たちの近景”はわたしの思っていたものと多少違っていたが、自分の
知らない過去の自分に出会えて、それはそれで面白いなと感じた。
お互いがそれぞれに「過去のふれあい」を遠景として眺めたとき、二人のあいだに生じる
誤差をむきになって修正するのもなんかもったいない気がするよな。
そんな時そっとしておいたほうが相手の“人となり”がよく見える気がする。
 
2013.11.7.
 

カテゴリー:

“近景、そして遠景” への2件のフィードバック

  1. 倉地久美夫 より:

    お久しぶりです。
    ひょんと日記拝見いたしました。
    文章からにじむ姿が素敵です。
    当方の記憶の雑さにとほほとあきれ返ります。
    松下さんのことはよく思い出しております。
    (同じ福岡県在住ではありますが)また
    お会いできることがあればと思いつつ。
    久しぶりのご挨拶で失礼いたします。

    • ryuji より:

      お久しぶりです!!
      ブログのネタにしてすみません(まぁお互い様か、、笑)。大変ご活躍でなによりです。映画すごいですね。是非観てみたいですがDVDになってたりしますか?
      お身体にくれぐれもお気をつけください。また是非お会いしましょう。

倉地久美夫 へ返信する コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です