唐人町ギター教室では、楽譜が読めない初心者の方からプロを目指している上級者まで、現役プロミュージシャンが丁寧に指導致します

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格闘技とわたし

 
わたしはどちらかというと臆病な人間である。
二つ上の兄がいるが、子供の時分よく喧嘩をした。
しかし弟というものは体格的な面もさることながら、精神的な面もあって絶対に兄には勝てない
ものである。負けて泣くことを繰り返しながら、わたしはいつしか“如何に戦わずに物事を
収めるか”ということに腐心するようになった。しかし本能的な闘争心というものはどうにも抑え
ようがない。
 
 
小、中学校と背が低かった私は、プロレス好きの同級生たちの格好の餌食になった。
よってプロレスはいまだに好きではない。(小学校の廊下で“パイル・ドライバー”という技を
かけられたことがある。あれはいまだに忘れない、、、)
小学校高学年になる頃に仲間内で“カンフー映画”が流行った事がある。
チビだった私も竹でヌンチャクやトンファーを作り、自宅でせっせと“厳しい修行”に励んだ。
ユンピョウにファンレターを出して返事をもらった事もある。
だが身体が硬く、身体能力の低い私はバクテン、ソクテンはおろか皆が当たり前に出来る
“跳ね起き”すら出来なかった。(先日和歌山で聞いたが、木下尊惇さんも出来たらしい。)
仕方が無いので、以後はカンフー映画のサントラ収集およびジャッキーがしゃべる「広東語」
の習得に全力を尽くした私であった。
 
 
カンフー(正確にはクンフー、広東語ではコンフーに近い)映画にハマる少し前、テレビで
「あしたのジョー2」が放映され、これも仲間内で流行った。
ボクシングに対する“かすかな憧れ”がわたしの中に芽生え、その後もなんとなく残った。
その後、福岡市立香椎第二中学校を経て福岡県立新宮高等学校に入った私は、三年生の三者面談
の折、担任の上島先生から志望大学を聞かれ「大学に行く気はない」と答えた。大学経由で就職
する仕事には一切興味が持てなかったのでそう答えたのだが、親と担任は別な解釈をし
「受験から逃げるな!」という言葉でわたしに再考を促した。
仕方なく共通一次試験を受け、福岡教育大学中学社会科と北九州大学文学部国文学科に受かった
わたしは後者に行くことに決めた。
JRに揺られ遠賀川を越え、小倉でモノレールに乗り換え、競馬場前で降りたところに大学は
ある(所要時間は一時間半)。
駅を降りた私の目に真っ先に飛び込んできたのは大学武道会館2Fにある「ボクシング部」の
部室だった、、、。
 
 
その後「受験から逃げなかった」という捨て台詞と共に大学を一年でやめた私は、一人暮らしを
始め、高校在学時から夢中だったバンド活動へとはまっていった(そうした諸々の間でも
“クラシックギターをやめていた期間”というものは一切無い。他のものと完全に両立して
いた)。
一年間の大学生活だったが、唯一の未練は部活動であった。
試合には一度だけ出た。
5キロの減量は苦しかったが、ジョーに対する憧れのおかげで何とか凌げた。
相手は久留米大学の一学年上の選手で、わたしは途中で鼻血が止まらず、レフリーにストップを
かけられ試合は終わった。
減量で苦しみ、フラフラの身体でリングに上がり、ボコボコになぐられる。なんて身体に悪い
スポーツだ、、、。
わたしが憧れていたものは「ボクシング」ではなく、“ジョー”の中に描かれていた「人間模様」
のほうだったんだと試合終了のゴングと共に思い知らされたものであった。
 
2013.10.30.
 

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“格闘技とわたし” への4件のフィードバック

  1. d より:

    松下さん。昨日はお疲れ様でした。夫婦で楽しめた演奏会でした。お茶会の後に声をかけていただきいろんなお話ができたこと大変うれしく思います。自分はすっかり舞い上がってしまってあれもこれも話したいでも他の人も先生と話したいだろうからあまり拘束(笑)してもいけないかなと思いつつ、気もそぞろで、まとまりのない自分の話ぶりにすこし閉口してしまいました。盗賊の唄は聞いたことがありました。フェリアの演奏を見てグランホタのあの音はこうやって出しているのだな等と発見もありました。筥崎宮でのJAZZナイズされた演奏とはまた違った演奏の一面が見れてハッピーな時間を過ごせました。
    CDアイム~を聴きました。まるでJAZZギタリストの演奏の雰囲気がしました。JAZZだからClassicだからと自分の中で線を引いて聴いていた自分の考えを少し変えさせてくれそうな作品だと思います。ありがとうございました。
    12月に大牟田で再会できることを楽しみにしています。11月~♪が楽しみです。
    僕は空手バカ一代の大山倍達にあこがれて松下さんと同じような経験をしたことがありますよ。

    • ryuji より:

      dさんへ
      昨日は遠いところありがとうございました。ゆっくりお話できて楽しかったです(まだまだ話し足りない気がしましたが、、、)。ご夫婦そろってパーカッションとは意外でした。またそちらのお話もゆっくりうかがいたいです。12月にまたお会いできるのがとてもうれしいです。奥様にくれぐれもよろしくお伝えくださいませ。

  2.  
    どうして、明日のジョー、なのか。
    ずっと不思議なんです。

    • ryuji より:

      どうしてでしょうね?それは確かに不思議です。考えた事ありませんでした。
      かっこいいじゃないですか、顔も生きかたも、、、(何だ、この説得力の無さ、、、)。

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