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死別について

 
人からみたら、子供じみて見えるかもしれない。
いままで身近なものも含めて、様々な死別を経験してきたにもかかわらず、「人が亡くなる」
ということが今ひとつピンとこない体質のようなのである。
ご冥福をお祈りはするものの、また数年後にどこかでその人とバッタリ会いそうな、そんな気が
してしまうのである。つまり死別したことにより「その人ともう二度と会えない」という悲しみ
に打ちひしがれた経験が無い。
わたしは情の薄い人間なのだろうか、、、、。
 
 
今日の夕方、過去お世話になった、ある知人の訃報が届いた。
享年60歳、胃癌であった。
その事実を知らされても尚、数年後に東京でお会いできそうな気がしてしまう。
今月アタマには、私が若い頃から大好きだったロックミュージシャンであるルー・リード氏の
訃報に接した。享年71歳(こちらはもちろん直接の知り合いではない)。
訃報に接するとまずびっくりする。次にその人に対する感謝の気持ちが湧き起こる。だが悲しみ
はおそってこない。その人達の“命”は燃え尽きても、“魂”は私の中で生き続けている。だから
寂しくはない。そして私もいずれ向こうに行くのだ。“死”は全ての人間にとって受け入れるべき
当たり前の事だから悲しむ事はない、、、、。
 
 
などと言っている私は、おそらく相当恵まれた人生を送れているに違いない。
もちろん今後のことは一切わからないが、これまでの自分の人生に心から感謝したい。
 
 
音楽作品を通じて、直接には会った事の無いJ.S.バッハ、F.ソル、F.タルレガ、D.エリントン、
T.ジョビンその他大勢の偉大な先人達が残したクリエイティヴな仕事の数々に触れる事、それは
すなわち彼らの魂と対話をする事であり、私の中で彼らの魂を生かし続ける事なのだ。
素晴らしい音楽を通じて、過去の先人達と日々対話をこころみているおかげで、私の中で
“死別”に対する悲しみが薄らいでいる気がする。
 
ありがとう、わたしより先に逝ったひとたち。
ありがとう、音楽。
 
 
2013.11.14.

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