唐人町ギター教室では、楽譜が読めない初心者の方からプロを目指している上級者まで、現役プロミュージシャンが丁寧に指導致します

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ソロ・ギターの時間

 

一昨日のソロは 約三年ぶりだった

ジストニアで 右手の使える指が p, m, a, の3本に限定されることは

練習の段階で さほど問題にはならなかった

むしろ一番の問題は「緊張で手がこわばった時、m, a, が動いてくれるのか?」

これは非常に切実な問題だった

 

共演者のいるアンサンブルは楽しいが

ソロ演奏は基本 自分のためだけに弾きたく

ひとさまに聞かせる意義を 長年感じられないでいた

だがその一方で ジストニア・ギタリストの可能性を知りたくもあり

なにが出来 なにが出来ないか を見極めたくもあり

1月9日 企画&主催するに至った

 

この一か月

「当日弾ける気しかしない」日もあれば

「当日弾ける気がまったくしない」日もあり

それらが三日周期で変化するという まさに苦悩の日々だった

 

コンサート前日の1月8日 

間違えず弾こうとするあまり 完全に委縮している自分に気づく

なんのためのコンサートなのかわからない

なので満身創痍でかまわないから攻めに転じることにした

そのハラが据わったとたん 体の力がすっと抜けた

 

当日は開演4時間前に 池田慎司さんに来てもらった

彼は 僕の通しリハーサルに無言で付き合ってくれたあと 食事にも付き合ってくれた

どれほど救われたか 友のありがたさが身に染みた

 

今回のステージがぼろぼろだったら

ソロコンサートとしては最後にするつもりだった

結果としては 粗かったが 嘘のないステージ、、、

よろこんで戴けたかは 人それぞれだが

みなさまにとって あれがどうだったのか 正直まったく予測がつかない

いったいどうしたんだろう、、、という戸惑いを今回すごく感じる

ただ終演後 すごく熱い反応を示してくれたお客さんが 5人いらっしゃった

仮に25人にとってダメでも 5人喜んでくれた、、、

 

だったらいいか

 

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《プログラム》

 

*イエスタデイ(レノン&マッカートニー / 武満編)

*3つのプレリュード  I, III, VII, (M.M.ポンセ)

*【2つの日本の風景】 

  木洩れ陽のロマンス(吉松隆)、三月の歌(武満徹 / 松下編)

*【2つのロマンティックな小品】 

  パヴァーナ(F.タレガ)、東へ(A.H.von ヴァイラウフ / タレガ編)

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*【2つのファリーニャスの小品】 

  ラウラの唄、公園で(C.ファリーニャス)

*【2つのラテンアメリカの風景】

  カンシオンNo.3(J.アギーレ / 松下編)、ラ・ネグラ(A.ラウロ)

*【3つのセレナーデ】

  グラナダ(I.アルベニス / 松下編)、セレナーデ(S.グバイドゥーリナ)、スペイン・セレナータ(J.マラッツ / F.タレガ編)

*ラリアーネ祭(L.モツァーニ)

 

2023.1.11

 

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“ソロ・ギターの時間” への8件のフィードバック

  1. 木下尊惇 より:

    ああ、聴きたかった・・・

    • 松下隆二 より:

      木下尊惇さま
       
      地道なリハビリに戻ります(笑)

  2. 山田賢 より:

    美術館や文学館の展示に行って涙を流すことがあります。
    それは作品の美しさや巧みさに対するものではない場合がほとんどです。
    葛藤や疑いに道具と体でぶつかった跡を見付けた瞬間に心が揺さぶられます。

    記事を読んだ僕の推察にすぎませんが、きっと今回の松下先生のコンサートにもそのような跡が刻まれていて、その場には生きた時間が流れていたと想像します。

    (生意気なコメントに思いますが、勢いで初投稿しました!)

    • 松下隆二 より:

      山田賢さま
       
      昨年は貴重な時間を過ごさせて頂き有難うございました。
      ”生きた時間”ね~、、、「なかなかスマートに格好よく」は見せられないものですね(苦笑)。
      泥臭くいくしかないのかな。今回も必死でしたから、、、。
      お客さんにどうなのか、、、は未だに本当にわかりません。
      わかる必要が果たしてあるのか?
      わかるってなんなのか?

  3. S.Hongo より:

    はじめて聞かせていただく曲もあり、とてもよい時間を過ごさせていただきました。
    静謐でいながら核は熱い。そう感じました。

    ありがとうございました。

    • 松下隆二 より:

      S.Hongoさま
       
      いつもありがとうございます。
      しばらくは皆さんのソロ演奏を楽しみに余生を送ります。

  4. T.Yoshimoto より:

    松下先生
    先日は素敵なソロコンサート有り難うございました!  ご承知の通り技術的な事はわかりません、というより音楽は感じてナンボの世界や、という荒っぽい考えの持ち主の小生ですの勝手に心地よく過ごさせていただきました。 静かな入りから好きな武満徹さんの三月の歌そして休憩を挟んで徐々にテンションが高まり最終局で爆発!!  挫折ギターじじいとしてはこの上無い心地よさを感じました。 ジストニアは本当か? と失礼なことを感じさせる時間でした。  極論ですが私は音楽は合唱でも楽譜通りに正確にスマートに綺麗に見事に演奏されても決して感動する事はありません。 楽譜からはみ出し、飛び出してくる熱気を感じた時初めて感動します。 松下先生の生き方というか佇まいというか、そういうものを感じる小生としては先日の演奏そのものが松下先生だと勝手に思います。 そしてそばに地中海の明るい太陽のような池田先生の存在がギターは弾かれなくともいらっしゃるだけでGOODでした。
    勝手なことをダラダラと書きましたがご容赦ください。 また聴かせてください!!

    • 松下隆二 より:

      T.Yoshimoto さま
       
      先日はありがとうございました。聞いて戴けてとてもうれしかったです。人様からすると大袈裟に聞こえるかもしれませんが、先日のコンサートを終えて「まだ活動していいよ」と言われているようなそんな気がしました。あの日立ち会ってくださった皆様に心から感謝です。

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