今年も１０月９～１３日にかけてふくしまにお邪魔した。
毎度のことであるが、このたびも神奈川在住の木下尊惇さん、愛さんご夫妻に全面的にお世話になりながらの滞在であった。
 
ふくしまのひとびとは今でも毎日「放射線」「居住問題」その他非常に多くの問題と向き合いながら生活している。
 
私にとっては、もともと全く親戚も知り合いもいない土地である「ふくしま」であったのが、震災後木下さんのご紹介で『ほんとうに素敵なひとたち』と知り合うことが出来た。そしてその方々のお顔を思い浮かべる度に、もはやふくしまが自分にとって「見知らぬ他者」の住む土地ではなくなってしまったのを今年は特にしあわせに感じた。
 
もはや「被災地支援」等という言葉によそよそしさを感じるほど私の中の「ふくしま」に血がかよいはじめ、具体的な顔をもち始めたことへの喜びといっていい。
 
実ははじめから「支援」などという意識はサラサラなかった。私にできることなんてあるはずが
ないのだ。それがわかっているからこそ、せめて仲間に入りたかった。木下ご夫妻の築いて
こられた信頼のおかげで皆様わたしのことをすんなりと受け入れてくださった。年に一度ごとの
再会であるが、一緒に過ごしているときはそれまでの時間や距離を少しも感じない。そんな
ふくしまの皆様に心から感謝している。
 
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１０月９日（金）夜ふくしまに入る。
１０月１０日（土）今年で４１回目を数える日本最大のフォルクローレ・フェスティバル
「コスキン・エン・ハポン」のパレード参加。
絹織物で昔から栄えた福島県に伝わる伝統工芸の素晴らしい技法に触れたのち、「世界の屋台」
にてスペシャリスト達の極上の料理を堪能。飯坂温泉「鯖湖湯」にて一日の疲れを癒して
初日終了。
 
１０月１１日（日）二日目はコスキンの副代表であり長年フェスティバル用のポスターを描かれ
ていた神保亮さん（今年一月にご逝去）の追悼演奏を「羽山の森美術館」にて同じく副代表の
東出五国さん、木下氏と共に行う。その後三春町に向かい、デコ屋敷に立ち寄ったあと三春の
伝統的なお祭り「三春大神宮祭礼」を観る。いや、ただ観るだけでなく地元の皆様に混じって
なんと山車をひかせて頂いた（木下氏に至ってはハッピを着て御輿まで担いだ）。
 
１０月１２日（月・祝）三日目は昼からコスキン本会場にてゲスト演奏（私の場合木下氏に
くっついているからこそのゲスト扱いなのだが、、、）。そして夜には福島駅近くのステキな
バー「マジー・ノアール」でバンドネオン奏者、小川紀美代さんと木下氏とわたしの三人で
ライブ。いやあ～、本当に楽しかった。
 
 
以上のように、とっても密度の濃い今年のふくしま滞在であったが、やはり私にとって非常に
大事だったのは、移動の車の中や食事のとき、ある時は演奏会場、またある時は就寝前など折に
触れての木下ご夫妻との会話だった。
 
《日々の農作業、ふくしまの近況、人と人とのかかわり、人と自然のかかわり、生活の中で
生まれた伝統的な手仕事、三葉虫、ボリビア、そして音楽、、、。》
 
単なる「演奏スタイル」ではない生き方としての【フォルクローレ】にしっかりと根ざした
木下氏の視点に間借りしながら、今回もいろいろなものを見させて頂いた。
その視点がこれまでわたしの動きに大きく反映していることを思えば、木下尊惇、愛ご夫妻は
わたしにとってまぎれもなく【人生の師】である。
 
 
来年もまた皆様とお会い出来、共に笑い、共に楽しめますように。
ありがとうございました。

２０１５.１０．１５.