唐人町ギター教室では、楽譜が読めない初心者の方からプロを目指している上級者まで、現役プロミュージシャンが丁寧に指導致します

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共演者の人間関係

 
友人である福岡在住のギタリスト橋口武史さんの教室が今年で15周年を迎える。
その記念イヴェントとして、来たる10月3日(土)「みんなのコンサート」と題したコン
サートが開かれ、彼ゆかりの(というか所属されてある)長崎ギター四重奏団による演奏、
そして池田慎司、橋口、わたくし松下によるトリオ演奏が行われる。
 
 
この三人、非常に長い付き合いにもかかわらずじつはトリオ演奏は初めてなのである。
だが長い知り合いであることに依存する要素は今回極力排除したいと個人的に思っている。
なぜなら演奏家同士の付き合いの長さや仲の良し悪しなんてお客様にとっては関係のないことで
あるから。
コンサートである以上、お客様と共有する「空間と時間」があくまで主役であり、
「音楽の良さ」がそれに貢献する。そしてわれわれのその日の「人間関係の結果」が音楽に反映
する。すなわち我々三人の妥協点の高さ(もしくは低さ)がそのまま音楽に投影される。
ここでは過去の人間関係の蓄積はなんの足しにもならない。
信頼は演奏のあいだ一瞬にして結ばれ、そして演奏とともに終わる。
次の機会に持ち越すことなど出来ない。
次の機会にはまたあらたに「そのとき限りの信頼関係」を結ぶことになる。
演奏はそのつど【なまもの】。
「今回いい人間関係が築けるのでは、、、」
という希望がそのつどある場合のみ仕事を共にする。
だからこそ共演の時間をいとおしく感じる。
「共演」の浪費はしたくない。
 
 
他の二人がどう考えているのかは知らないし、わたしの考えを押し付けるつもりもない。
かつては「福岡期待の若手」だった三人も大概いい歳になった。
その事実を前にして、ある種の感慨深さを感じていることだけは素直に白状しておく。
 
 
2015.9.29.
 

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