唐人町ギター教室では、楽譜が読めない初心者の方からプロを目指している上級者まで、現役プロミュージシャンが丁寧に指導致します

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”スタンダード”というものについて(その2)

 
「単に世代によって違うだけじゃないの?」
 
確かにそうだ。それはここ数十年でスタンダードが変化している最も大きな要因であろう。
ただここで私が興味あるのは、どの曲が世代を超えてスタンダードとして引き継がれ、どの曲が
引き継がれていないか、、、そしてその原因は何か?というところなのである。
 
 
ギターという楽器のキャラクターに含まれる成分として切り離せないところから『スペイン音楽
(いわゆるアルベニス、グラナドス、ファリャ)』に関しては、今後もスタンダードとして
外されることはないに違いない。だがひと頃プロも愛好家も頻繁にとりあげていた A.ラウロの
美しい小品の数々は、近年採り上げられる機会が少ない。スペイン音楽に比べてヴェネズエラ・
ワルツのロマンティシズムは「単に時代がかったもの」として片付けられてはいないだろうか。
 
(うまいおじさんやなぁ~!)

 
一般愛好家については、その人がどのような環境に身を置かれてあるのかがレパートリーに
大きく関わってくる。よってスタンダードの在り方も、地域(教室)によって個性がある。
全くの独学で、専門誌 ”現代ギター” の情報のみを頼りにされてある方、先生とのマンツー
マン・レッスンのみでギターと繋がってある方、教室の発表会やコンサートにも積極的に足を
運ばれる方、、、、、ほんとうに様々な【ギターとの関わり方】がある。
 
 
私が年に1度、レッスンで伺わせていただいている大阪の状況は、私の地元である福岡とは全然
違うものである。大都会である大阪は、ギター人口の多さから一般愛好家の層も厚く、毎年
コンクールの一般部門やシニア部門に挑戦する方も多い。そのため皆さんがレッスンに持って
こられる曲は、《コンクール課題曲》や《バッハ作品》など難易度の高いものが多い。
 
 
あとは講師の趣味や選曲の傾向が生徒さんに与える影響も大である。
私は「あまり難易度の高くない曲を、如何に内容の充実した演奏で聴かせるか」に重きを置いて
いる為、生徒さんたちのレパートリーが小品に傾きがちなのが多少悩みではある(苦笑)。
他の生徒さんたちが弾いていないこともあり、なかなか皆さん大曲や中曲に手を付けようと
しないのだ。
大阪の愛好家の方々には逆に「小品の演奏を充実させる喜び」を味わって欲しいのだが
、、、大きなお世話かな?(笑)。
 
 
うちの教室の生徒さんたちでここ数年スタンダード化しているものは、やはり教本に載っている
作品や古典のエチュードが多い。
 
月光(F.ソル)
ノクターン(C.ヘンツェ)
ラグリマ、アランブラの思い出(F.タレガ)
25のエチュード(M.カルカッシ)
水神の踊り(J.フェレール)などなど、、、。
 
スタンダードが固定すると、それらは形骸化し、あるいは権威になってしまう恐れがある。
よって私はそのような《かたいスタンダード》ではなく、流動的で常に新鮮に向き合える
《やわらかいスタンダード》を設定し、今後生徒さんたちに薦めてゆきたい、と考えている。
 
(つづく)
 

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“”スタンダード”というものについて(その2)” への6件のフィードバック

  1. S.Hongou より:

    La Negra (Vals Venezolano)
    無勉強で、初めて聞きました、素敵な曲です。
    弾きたい曲と、弾けるかもしれない曲、を考える時、動画の功罪もあるのではと(自分の中で、ですが)。
    ギターの、か細くも人をよせ付けないようなネックの上を、縦横無尽に指が動き回ったり、拡張が多そうな曲の動画を見る度に、「あ、無理」(己のレベルでは)と、諦めてしまうことがあります。

    • ryuji より:

      Hongouさま
      いえいえ、それは発想の仕方がヴェリー・ネガティヴ(笑)、私と真逆でんがな。
      スラスラと滑らかに弾いていらっしゃる方の映像を目に焼き付けることで、「うまいひと」のイメージを持つことが大事なのですよ。
      指はその人のように動かなくとも、「呼吸の仕方のイメージ」「楽器の持ち方のイメージ」その辺を真似るところから得るものはたくさんあります。
      私も10~20代の頃は、J.ブリーム、福田進一、R.アウセル、、、様々なギタリストの”弾き姿”を遊びがてら真似てみたもんです。いや~、その経験は今でも役に立ってますね。

      • S.Hongou より:

        ヴェリー・ネガティブは性分でして。
        先生方の演奏や、コンサートでは、所作を目に焼き付けようと、努力はしております! その先が難しいのですが。
        次の目標をもう少し、怖がらずに設定するのも大事なんですね。
        ご助言、ありがとうございます。

        • ryuji より:

          ”努力”よりは、やはり”あそび”ですかね、感覚としては、、、。
          そっちの方が楽しいっすよ!

  2. S.Hongou より:

    大曲に挑む時(来年やろうとしている曲がその範疇に入るかどうか不明ですが)、まずは、どこからとっかかるのか?
    というのが一番わかりません。
    運指の指示もない楽譜の前で途方にくれて日が暮れて、うん、これでは前に進まない、でも、ここんとこ弾けそうにない、とかの繰り返しで、結局、前に進まないのです。
    アプローチの仕方を、是非に、ご教授くださいませ。

    • ryuji より:

      Hongouさま
      おお、公開の場でそうきましたか(笑)。
      う~ん、私の場合どうでしたかねえ、、、なにも考えずただがむしゃらにやりましたがねえ、、、そんなこと誰も教えてくれなかったし、、、それに関しては「あこがれ」のなせる業でありまして、、、効率の良いアプローチなどが果たして存在する話なのかどうか、、、、、う~ん、、、、やはり、、、、運指が分からない場合はとにかくすべての運指の可能性を考えてみる事ですな。その時初めて「自分がなにがわからないのか」「今の自分に何が必要なのか」が見えてくると思うのですよ。
      そこで初めてプロのアプローチが有効になると思うのですよ。

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