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MCについて

 
MC(エムシー)
司会、司会者、番組進行役(英: master of ceremonies, master of ceremony)のこと。
転じて、コンサートなどで、演奏の合間に演奏者が話をすること、またはその時間。
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とりあえずクラシックに限る話である。
ちいさな会場でのサロン・コンサートを多く経験しているミュージシャンほど、演奏の傍ら
MCをとる人が多い。
なぜなら【沈黙】というものは、小さな会場になればなるほど、演奏者にもお客さんにも重く
のしかかるものなのである。
逆に大きなコンサートホールでの【沈黙】は、「ピュアで美しい時間」として機能することが
ある。
《担当楽器によるMCのキャラクターの違い》などもひょっとしたらあるかもしれない。
なぜならプレイヤーがどういう楽器を手にしているかで、『音楽そのもの』や『人間関係』に
ついての視点などに影響があるに違いないからである。
 
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MCは本当にひとそれぞれだ。
 
日常会話のように何気なくしゃべれる人もいれば、しゃべればしゃべるほどドツボにハマって
いく人もいる。
台本をきっちりと書いて、それを一言一句間違えないように気を遣い、演奏でとんでもない
間違いをする人もいる(笑)。
 
故マイルス・デイヴィスや山下和仁氏のように、舞台上では決してしゃべらない人もいる。
マイルスは「客に愛想を振り撒くぐらいなら音楽に集中する」という考え方だったし、山下氏と
ご同門のギタリスト、橋口武史氏によれば”『舞台上では楽器の音(もしくは楽音)が最も神聖
なものであるから、しゃべることで舞台を穢してはいけない』と先生から教育された”そうで
ある。
実際それを聞いて共感する部分も非常にある。
【芸能】というものは「神に奉納する」という側面をいまだに捨てていない、と私の中で
信じている部分があるからだ。
ちなみに私にとって神というものは、其のとき其の場の『空間』のことにほかならない。
 
そういう事の存在を感じつつも、わたしはしゃべることを選択している。
選択していることの理由は自分ではいまいちよくわからないが、MCも<こみ>でコンサート
の要素と感じてはいる。
 
駆けだしの頃はMCがうまくいくと、やたらうれしいものだった。
演奏がうまくいっても、MCですべるとその日はがっくりと落ち込んだものだ。
自分の言葉ひとつひとつにやたら意識を置き過ぎ、反応を確かめながらしゃべると私の場合、
大体ダメだ。
「自分の言葉なんて取るに足らないものだ」ぐらいに突き放しつつも、誠意をもってしゃべる
ことに徹すると、いい感触の反応が返ってくる。
 
 
先日生徒さんから質問があった。
9月に人前でグループ演奏される機会があるのだが「MCは必要でしょうか?」とのこと。
MCに関してのこのような質問を受けたのは初めてのことであり、私としては新鮮だったので
何となく嬉しかったのだが、悩んだ挙句メールで以下のようにお答えした。
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《え~、MCが必要かどうかはメンバーで決めていただいていいですよ。
プロでもお客さんでもMCに対する考え方は様々なので、自分たちのやりたいよう
にやるのが一番です。
「舞台上では一切しゃべらない」と決めている演奏家もいます。クラシックの人
に多いですが、ジャズではマイルス・デイヴィスなんかもそうですね。
一方、しゃべりによって舞台と客席との心の距離が縮まることも多いようです。
しかし音大で「MCのとり方」なんて授業が行われるようになったら、それこそ仕
舞ですね(笑)。
「しゃべる」「しゃべらない」含めて、プレイヤーがお客さんとの時間をどのよ
うに過ごしたいかが打ち出される大切なことです。
「ご自分達が手にした時間」です。ご自由にお使いください。》
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思い出した、、、。
そういえば昔、楽器店で立ち読みした「How to 本」の中に、『ロックボーカリストの心得』的
なヤツがあった。
ひらいてみると《歌い方のスタイル》の章で、「かっこいいマイクスタンドの持ち方」のほか
「モニター・スピーカーに片足をのせて歌う」
「”お前”という歌詞のところがきたら、客席の誰かを指さす」
などと大真面目に書いてあった。
 
結論。
このテのことは決してひとから習う類いのことではない。
以上!
 

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“MCについて” への4件のフィードバック

  1. 橋口武史 より:

    師匠の言い付けを守らずに、「話せるのであれば話そう」というスタンスでやっている橋口です。MCに抵抗が無くなったのはもう1人の偉大な兄弟子、山口修氏にカルテットで鍛えられたからかな、と思っています。無理して「何か話さなくては」と思う必要もないでしょうし、曲名と作曲者くらいは言ってから演奏したほうがお客さんにはより伝わるかな、とそんな感じです(^^)。

    • ryuji より:

      橋口武史さま
      やはり身近にどういう先輩がいるのか、、、というのは大きいですね。
      『あこがれたり尊敬したりできる先輩をみつけ、そのひとにくっついていく』ということも成長するために必要な能力じゃなかでしょうか。
      MCをとろうがとるまいが、結果《たたずまい》が美しいひとでありたいです。

      • S.Hongou より:

        たたずまい、が美しい人。
        「たたずまい」には、その人の生きてきた歳月や経験が、ひけらかすことなく、自然と、そうしてユーモアと色んな感謝の念でにじみ出るのかと、自分のなかで思っています。
        そういうひとにわたしはなりたい。
        とおこがましく思った次第であります。

        • ryuji より:

          S.Hongouさま
          私もそのように思います。別に気の利いたことが言えなくても、場に対して誠実であればよいかと。

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