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クラシック・ギター音楽史を終えて

 

昨日5月5日、主催イヴェント『クラシックギター音楽史』を終えた。

素晴らしい演奏をしてくださった加藤優太先生、松本富有樹先生、そしてご来場くださった44名のお客様に心から感謝している。

 

開催前から思っていた事だが、今回のようなイヴェントはたぶん二度とやらないだろうということ。ひと様の主催で依頼されたらやると思うが、自分の主催としては、そもそも同じ人間が何度も何度も繰り返しやれるたぐいのものではない。

足を運んでくださった皆様の期待や思いが様々であることももちろん事前に予測がついた。

クラシックギター音楽の歴史的な流れを知りたいひと、それはもちろん知っていてそれらを松下がどういう手順で進めてゆくかを見に来たプロのひと、話よりも演奏を期待して来られたひと、エンターテインメントとしての楽しみを期待されて来たひと、知っている曲が聞きたくて来たひと、知らない曲と出会いたくて来たひと、そしてそれらの思いの様々なブレンド具合、、、、。

「それら全てに応えたい」という思いと「それらすべてを裏切りたい」という思い。これらふたつは、たとえ ”矛盾” であったとしても ”共存” は可能ではないか、、、、。

準備には最後までそういった葛藤があり、本番進行中にもそれは続くこととなった。

イヴェントのラストに言うため準備した ”いい言葉” をすべて消したのは本番3日前だった。進行役の私が、まとめや結論を口にするとイヴェントとして完結してしまうが、それは責任感の名を借りた質の悪い自己満足にすぎず、お客様それぞれが自発的に埋める余白を残しておくことこそ主催者兼進行役の大切な役割のような気がした。

そして結局は「わからない」。あれが皆様にとってどういう時間だったのか?

音楽の楽しみを皆様に提供するという意味においては、「コンサート形式」とは別の手法として、今回のは充分にアリな気がする。ひとの数だけ視点があり、同じ情報のつなぎ方もひとそれぞれのセンスがある。今後は他のかたの音楽史、ギター史を拝聴できる機会を心から楽しみにしている。

 

2023.05.06.

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“クラシック・ギター音楽史を終えて” への2件のフィードバック

  1. S.hongou より:

    貴重な企画、そうして資料をありがとうございました。
    加藤さん、松本さんの演奏も大変素敵で、いくつかの曲のフレーズが時間がたっても脳内にひょこりと表れております。

    第二部のお話がとても興味深く、セゴヴィア氏の第二次大戦中の演奏活動の記録をネットで探したりしてみました。
    色んな引き出しが増え、新しいことを知ったり、曲を知るきっかけになるのですね。
    新たな気づきをいただきました。

    • 松下隆二 より:

      S.hongou さま
       
      コメントいつもありがとうございます。
      今回の巻末資料に掲載した作曲家は全体の10分の1くらいでしょうか。私の主観によりチョイスした人達ではありますが、主要なところは押さえているつもりです。今回一番勉強になったのは多分私です(笑)。

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