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予習の意義

 
”習いごと”というものは、予習よりも復習のほうが大切だと常々思ってきた。
しかし最近は「一概にそうとは言えない、やはりどちらも大切だ、、、」という気がしている。
 
~その生徒さんがどのようなタイプの予習をしてこられたか?~
 
これ次第で、毒にも薬にも成り得るのが《予習》というものである。
私が考える理想の予習とは「弾けないものをあらかじめ弾けるようにしておくこと」ではない。
それを先にやられると、レッスン時の生徒さんに必要な”柔軟な対応力”が、かえって阻害されて
しまうことが多い(特に年配の生徒さんは要注意)。
それよりも「事前に練習することで、自分の現在の疑問点や技術上の難所をあぶり出し、
レッスン時に質問出来るように溜め込んでおくこと」が、予習のメリットだと考えている。
そしてそれらに対し、レッスン時に先生からもらったアドヴァイス、練習方法や考え方を
持ち帰り、それを家で自分で実践するのが《復習》である。
ちなみに実際の自分の能力や技術が向上するのは、この復習作業のなせる業であろう。
 
 
「自分をガチガチに固めるための予習だったら、してこない方がマシ」
と、これまでは考えてきたのだが、今どきの若いもん(こんなことを口走るなんて年とったナ)
を見ていると、割と打算的理由により始めっから「間違ったことをやるより、習ってから
取り組んだ方が無駄がない」と考えているひとも、数多く見受けられる。
それってどうなのよ。
予習というものは本来、(ひとから強要されない)楽しい試行錯誤の時間のはずだ。
別な言い方をすれば、それは身の内から自ずと湧き出る”情熱のほとばしり”ではないか。
そこをひとさまに委ねて、なにもしないのか、きみは!
 
 
前から取り組んでいるジャズの疑問が溜まりきったところで、つい二日前のことだが久しぶりに
ジャズギタリスト田口悌治さんのレッスンを受けに行った。
こちらがぶつけた【?】に、すべて丁寧に答えてくださり、長年の疑問や悩みがいくつも解消
した。実践力をつける為に、あとはしっかりと復習するだけだ。とにかく今回受けたレッスン
では《予習の意義》というものを、強く痛感したのである。
 
 
ちなみにそれと同じ日の出来事であるが、一人暮らしの年老いた母のもとに一本の電話が
入ったそうである。
「もしもし、、、おれ、、、りゅうじ、、、、」
「りゅうじ?どうしたんね、あんた。声がぜんぜんちがうやん。」
「うん、、、かぜひいて、、、、会社も休んだ、、、」
「会社って、あんた、、、会社やら行きよらんやん!」
「、、、、、プツッ、、、、ツー、ツー、」
 
 
あまりに行き当たりばったりではないか、、、、情けない、、、(カクッ)。
息子の職業くらい、せめて予習しとけよ、、、、。
 
(おわり)
 
 

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“予習の意義” への4件のフィードバック

  1. 荒田和豊 より:

    いつも楽しく読ませて頂いております。
    私も石川先生にジャズギター習いに行って、予習復習の意味を同じように思いました。
    疑問をたくさんいつも持っていくようにしています、、ご迷惑のない程度に。。
    先生はたいてい教えるばかりですが、時に習う事も大切な事と思います。
    習う人の気持ちがよくわかります。

    • ryuji より:

      荒田和豊さま
      コメントありがとうございます!
      「習う人の気持ち」習うとよくわかりますね(笑)。
      伝える言葉をいつもたいせつに選ばれてある荒田先生のレッスンも私の中の大事なお手本のひとつとなっております。
      そうか!このまま順調にいくと、荒田先生とジャズギターデュオライヴが出来ますね(笑)。
      ご一緒できる日に向けていっそう励みます!

  2. 麻尾 佳史 より:

    松下先生
    大阪の麻尾です(本当は兵庫です)。先日はレッスン会でお世話になり、本当にありがとうございました。アパラチアの夢、レッスン内容を活かせるように復習しております。
    そしてこちらのブログですが、いつも楽しく、そして興味深く拝見しております。何度かコメントしようと思ったもののタイミングを逃していましたが、今回この内容をきっかけに色々考えるところがありましたので、自分のブログにも書いてみました。またお時間ありましたらお目通しいただけましたら嬉しく思います。
    予習も復習も大切ですが、一番は先生と生徒が同じ方向を向いて時間を過ごすことなのかなぁ、とも思います。次のレッスンの機会には、ぜひそういった最初の一歩からお話しさせていただき、より充実した時間を過ごさせてもらえれば、と思いました。今後とも宜しくお願い致します!

    • ryuji より:

      麻尾 佳史さま
      コメントありがとうございます。
      そして麻尾さんのブログ、拝読しました。なんてすごい内容でしょう。強く共感するものがあります。
      『思想を享受することと思考を持続することとは、むしろ真っ向から対立する。ひとが哲学を必要とするふたつの道筋は、驚くべきことだが、おそらくはまったく交差していないのだ。』
      たしかに言われてみるとそんな気がします(必ずしも対立するものかどうかは、私のアタマでは分かりませんが、、、)。
      思考の結果として《ひとつの結論を持つこと》と《複数の結論の存在を認めること》は必ずしも相反するものではない【両立可能】なものだ、というのが、最近の気分です。
      レッスンでみなさまにお伝えすることは言わば”極論”でして、現実は本来言葉で斬ることが出来ないほど非常に複雑多様なものです。そこをわかっていて敢えて悪者になる勇気を背負うことも、《説得力》というものは教える側に要求してきます。
      麻尾さんは教える側のそういった弱い部分まで把握したうえで、良いように受け止めてくださってる。
      そのこと非常にありがたく、嬉しく感じています。

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