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HUEコンサート(福岡公演)に参加させていただいて、、、

 
去る2014年5月22日(木)福岡市FFGホール(旧福岡銀行本店大ホール)において
韓国のポペラデュエット、HUE[ヒュー]のコンサートが行なわれ、ギタリストとしてサポート
させていただいた。HUEは2005年、キム・ジヒョン(女声)とリュ・ムリョン(男声)
二人の歌手により結成され、韓国と福岡を拠点に近年、活動を広げている。
“ポペラ”というのはポップスとオペラをミックスした造語で、オペラによって培われた揺るぎな
い歌唱力をもとに、ポップスから民謡までどんなジャンルのものでも採り上げる彼らの意欲を
示している。
 
 
HUEのおふたりは終始安定した歌唱力と和やかなトークで、エンターテインメントとしても
素晴らしいステージを繰り広げた。
ただいつもの事だが、わたしはプレイヤー・サイドの人間なので、当夜のコンサートがお客様
お一人お一人にどのように受けとめられたかはまるでわからない(まあそれは当然の事です)。
舞台側の人間として今回印象的だったエピソードをふたつ、、、。
 
 
コンサートのクライマックスでHUEはこれまでのコンサートで頻繁にとりあげてきた
「花は咲く」
を歌った。東日本大震災でなくなられた方々、そして韓国船沈没の事件でなくなられた多くの
若い魂とその遺族のために祈りを込めて歌い始めたが、客席のすすり泣きに反応し、HUEの
ふたりも感極まって歌えなくなる場面があった。
その瞬間のことである。突然にとぎれてしまった歌声の空白を埋めるべく当夜のバンマスである
ピアニスト上村貴子さんが“捨て身”で助けに入った(むろん音で、、、)。
バンマスだから当然の仕事といえば当然なのかもしれないが、わたしはそのことに感動した
(そっちかい!)。
 
 
もうひとつは演奏終了後、舞台上の片付けに行ったときのことである。
既に客電もついており、わたしは舞台上手側から下手側を見るとそこに当夜の舞台監督である
吉田氏が立ってあるのが見えた。100mほど向こうにいる吉田氏に
「舞台上にある自分の備品を取りに行っていいか?」とジェスチャーで示すと、向こうから
「もう少し待て」のジェスチャーが、、、。
吉田氏の視線の先には終演後の明るい客席の中にまだ数人のお客様が残っていたのだ。
一所懸命アンケートに記入しているひともいれば、コンサートの余韻にひたってくつろいでいる
人もいる、、、。
それらのお客様が会場の扉へと向かい、最後にご年配のお客様が付き添いのひとに介添えされな
がら階段をゆっくりと一段ずつ上がってゆく様子を氏とともにお見送りしたそののち、当夜の
舞台監督である吉田氏は、そこではじめてスタッフ全員にステージ上の片づけを指示したのだ。
 
ここにも“舞台人”のすがたを見せていただいた気がした。
それはお客様や出演者が立ち会うことのない、当夜のうつくしい場面のひとつであった。
 
 
 

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