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『マズルカーショーロ』の周りで(その3)

 
今日は具体的な運指について触れたい。
場面Aから見てみよう。出だしの部分は、《合理的》かつ《ピアニスティック》なアプローチ
であれば、こういう感じかしら、、、
 
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前回最後に言及した”ヘミオラ・アプローチ”は、もちろん好みであって決して義務ではない。
あとやるならば、”ことさらに”ではなく”さりげなく”やるのが、趣味のよいヘミオラ・アプ
ローチだ、、、、という意見を私の周りの中年ギタリストたちが時折口にするが、その通りかも
しれない。
 
4小節二拍めの二度音程の”ぶつかり”、そして6小節二拍めの”ナポリの六”は、私は特に美しいと
感じるので、「一瞬ふりかえる」が「歩みは止めず」に弾いていく。
言うなれば、街でイケメン(あるいは美女)とすれ違った時の感じ。
 
冒頭部分の運指であるが、『Simples 』は1小節内声が二弦三弦になっていた(作曲者による
ものかどうかはわからない)。それをもとに以下の感じも考えられる。お好みでどうぞ。
 
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最後の小節、2フレット・セーハのAmに飛び込むのが苦手な方は、その一拍前の時点で
左腕を回転させ(ひじを自分のからだ方向にひきつけ)、4の指(左手小指)を6弦の上空に
あらかじめ準備する習慣をつければよい。
 
ちなみにここでストイックかつまじめなあなたは、以下の疑問を抱くかもしれない。
「音符というものは、その音価ぶんの時間だけ押さえてなきゃいけないんじゃないの?」
これは至極真っ当な疑問であり、わたしも昔まじめだった頃はきちんと悩んだ(笑)。
私の本音をずばり言うと、「音価を守った方がよい箇所と守らなくてかまわない箇所がある」と
いうこと。つまりそれぞれ個別の問題だということである。
 
仮に作曲者が書いた音価を全部きっちり守って弾いたとしよう。
無感情のものすごい”棒弾き演奏”に聞こえるはずである。
そこで演奏を活き活きとさせるために、”アーティキュレーション”という考え方が出てくる。
音符に対して、演奏者が自発的にスタッカートやテヌートなどのニュアンスをほどこすことで
ある。アーティキュレーションの具体的なヴィジョンさえあれば、”四分音符”を短く切ることも
全然OK牧場なのである。
要は音価どおり伸ばそうが、短く切ろうが、この場合「多声部であることを感じさせることさえ
出来れば」いいのである(例:1小節三拍め内声の四分音符など)。
 
つづく場面Bのわたし運指は以下の通り。



”アラストレ”と書いているところは、うしろの音符は「左手指の先行的な動きにより、モノの
ついでに鳴ってしまったら鳴ってもいい」というくらいの感覚。つまり右手で”はじかない”。
もちろんこれはあくまで私の場合であって、この音を仮に右手指ではじいても、それで素晴ら
しい演奏をしている人はたくさん知ってるし、別にそれはそれでよいと思う。
 
私が曲にアプローチする時、まずはじめに興味があるのは、
「作曲者がその音をどう感じていたか」そして
「(作曲者がギターを弾く場合)どう弾いていたか」の可能性である。
もちろんそこで導き出されたものは、あくまで私の”仮説”でしかない。
だが他者の気持ちそのものにはなれなくても、”なろうとする気持ち”が大切だと思うし、
クラシック音楽というものは、その感覚を鍛えるためのエチュードではないかとさえ個人的には
思っている。
 
話が脱線した。
場面Bの最後のCメジャーコード運指は、ヴィラ-ロボスがしょっちゅう使う形なので覚えて
おくとよい(例:ショーロスNo.1、ギター協奏曲第一楽章など)。左は拡張だが右手は弦の
チョイスがラクだ。サウンドも8フレットセーハするよりオープンな響きが得られる。
 
そして本日最後の話題になるが、この場面Bに関して私が演奏する際、他の場面よりもマズルカ
のリズム意識を強く感じて演奏している。どういうことかというと、舞曲にはそれぞれ固有の
リズム感覚があり、三拍子の舞曲にはとくにそのヴァリエーションが多い。
ちなみにマズルカのリズム感覚を図形であらわすと以下の感じである。
『アデリータ(F.タレガ)』や『マリア・ルイサ(J.S.サグレラス)』を弾くときにも私の中の
リズム感覚は、基本的にこう動いている。


(つづく)
 
2021.1.20.

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“『マズルカーショーロ』の周りで(その3)” への4件のフィードバック

  1. より:

    「その3」待ってました! 先生のブログに合わせて練習しているので。
    レッスンと違って先生の「こんな感じ」という音は聞けないけど、文章で言わんとされてる事を「ああかな」「こうかな」といろいろやってみるのも面白いです。
    【A】の運指、2例目しか思いつかずそれでやってたのですが、マズルカっぽく弾こうとすると、ポジション移動でミスしやすく悩んでいました。1例目、試してみます。
    「イケメンとのすれ違い」という表現、わかりやすいです。私は凝視しちゃうからいけないんですね(笑)

    • ryuji より:

      筍さま
      え?そうなのですか!練習されてたのですね。
      それは失礼いたしました。
      今後は心を入れ替えてしっかり更新します。
      凝視しちゃうんですね(笑)
      どうぞくれぐれも気をつけて歩行してください。

  2. S.hongou より:

    復習もかねて拝読中です。
    最初に譜面にむきあったとき運指指示のない音符の塊に、「いけず」と呟きました。(ヴィラ・ロボスさんごめんなさい)
    運指を振る過程は自分には難儀でしたが、振り返れば有意義な旅だったような気がします。
    マズルカ・ショーロはずっとひき続けたい曲なので、連載ありがとうございます。
    ヘミオラ・アプローチがとても気になるので、また取り組んでみたと思います。
    もろもろ反芻しながら、またチャレンジします。

    • ryuji より:

      S.hongouさま
      まあ、私が言うことですので、例によってまゆつば半分、でたらめ半分として受け取ってください。
      また演奏きかせていただける日を楽しみにしています。

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