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重い?軽い?(その2)

 
このたびの話でわたしは二元論を唱えたいわけではない。
「重さ」と「軽さ」の中にさまざまなありようが有り、そのどれもが素晴らしく存在できる
可能性を持っている。つまり一元論の中に二元論や多元論が<入れ子>になっている状態が
わたしの頭の中である。
 
 
自分の気質を「軽い」「重い」という言葉で分類されることに抵抗がある方、もしくは何かしら
強いコンプレックスをお持ちの方はここから先の話は読んで戴かなくて構わない。だがわたしは
べつに人のコンプレックスをいじる趣味はない。
 
 
ただ各自が自分の気質を(おおざっぱにではあるが)分類することで
<自分と向き合いやすくなる>
のではないか、ということ。
そして他者がそのことに対して「どうバランスをとっているか」を知ることが、自分に
対して、他者に対して、より<気持ちが前向きになれる>ためのヒントになるのではないか、と
いうことがこのたびの話の主旨である。
ひとの気質として「軽いほうがいい」「重いほうがいい」などと言う気はさらさらないし、
前回の話(その1)でも述べたように、それらは「一長一短」。それぞれにメリット、デメリッ
トがあるので、自分の気質を見据えた上でバランスをとるよう各自試みたら、今よりさらに
ハッピーになれるかもしれない、、、という程度の話である。
 
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自分の話もしておこう。
わたしはどちらかというと<重い>ほうである。
ものごとに対する反射はわりと遅い方なので、スポーツでも球技はあまり得意ではない。
瞬発力勝負よりは持久力勝負のほうが好みである。
ギターでも速いスケールやアルペジオなど私が弾くと「軽い気質のギタリスト」達の演奏ほど
サマにならない。
 
 
だからこそ私の場合、軽い気質を持ったギタリストに憧れる傾向が強いし、彼らのようにプレイ
出来る日が来ることを願っているが、その一方で自分と同じ重い気質を持ったギタリスト達が
「自分の気質とどのように折り合いをつけ、バランスをとってるか」を見ながら、あるときは
励まされ、またあるときは参考にしているのである。
 
 
 
ちなみにわたしが<その人の気質>を見るときの判断の材料はなにか、というと
「日常会話の中でのしゃべるスピード、および声の(ひびきの)質感」
である。
もちろんひとは早口になるときもあればゆっくりしゃべるときもあるが、何気ない日常の場面で
どちらがメインか?(割合として多いか?)というのはあると思う。
しゃべり言葉のスピードと質感において「丁度良いひと」もしくは「ふつうのひと」というのは
わたしの中では日常において存在しない。
なぜならわたしの中ではそれは「NHKのニュースキャスター」であり、その語り口は
(これを言うとまた非難されそうだが)人間味が極力排除されたものだからである。
 
 
そしてギタリストがその指から紡ぎだす音の質感、ひとつの音が飛んでゆくスピード、リズム
などはやはりそのひとの声と一致していると感じるのである。
 
(つづく)
 

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“重い?軽い?(その2)” への2件のフィードバック

  1. 江島 より:

    その方の話す言葉使いやスピード、そして使う言語も演奏の音になって現れますよね。
    留学している方が一時帰国された時、帰国直後の演奏と一週間滞在した後の演奏では音がやはり違っているように感じます。演奏はその時その時のその方の思いであり、話し言葉であると常々感じています。とても共感することの多い内容でした。ありがとうございます。

    • ryuji より:

      いえいえ、こちらこそ。今回の話はなかなか受け止めるのが困難な方もいらっしゃるようで、、、あちこちからお叱りを受けながら書いているので、わたしの駄文を誤解なく一言一句受け止めてくださってる江島さんのコメントに救われる思いです。
      しゃべり言葉というのは、やはりそのひとの持つ身体的反射の象徴だと思います。
      自分の気質に対しあんまり早く開き直るのも進歩がないし、かといってコンプレックスになるまで悩むのも健全でないし、その辺も含めてのバランスだと思いますね。

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