唐人町ギター教室では、楽譜が読めない初心者の方からプロを目指している上級者まで、現役プロミュージシャンが丁寧に指導致します

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ただいま読書中、、、

 
昨年末から今年の初めにかけて出版された「ニール・ヤング自伝」(全2巻/奥田祐士・訳/白夜
書房)が注文先のアマゾンから届いた。
まずはその重さにビックリ、、、。
最近の活動はあまり追いかけきれてるとは言えないが、十代の頃打ちのめされて以来大好きな
ニールの自伝ということで久々に胸がときめく。
 
 
私が日々の音楽活動の合い間にふとかける音楽は、イヴァン・リンスやカエターノなどの
MPBのほか、ビリー・ジョエルやニールなどシンガー・ソングライターによる音楽が多い。
なかでもニールをかける頻度はダントツである。彼は楽曲やアルバムの“完成度”は追及しない。
彼にとって音楽とは人生と誠実に向き合う為のひとつの手段であり、売る為の音楽を量産
するだけの単なる音楽職人でないところが、若い世代のミュージシャンからも圧倒的な支持を
得ている理由であるに違いない。そんなニールの音楽は、聞く側に心の準備がなくてもすっと
入ってゆける自然さがある。私にとって米の飯のようなものだ。
 
 
しかし現在一巻まで読み終えたところで、この自伝なかなかの難物である事を痛感した。
確かに自伝といえなくもないが、一般的な自伝とは明らかに感触が違う。
ある部分はまるで日記であり、自分がハマっている鉄道模型の事、環境問題、愛車、脳性麻痺で
生まれた息子の事、クスリ、火事、ロナルド・レーガン、開発に携わっている音響システムの事
がランダムに語られる合い間に、過去そして現在の音楽活動及びそれを取り巻く人間関係
が綴られてゆく、、、どうだい、難物だろう?(笑)
しかしある意味これは彼の音楽と全く一緒である。きれいにまとめるなど一切しない。
そのとき取り組んでいる対象に全力投球!
「わたしはいつも、長く入り組んだ話をしているうちになにを話しているのかわからなくなり
少しずつ正気を無くしているというわたしの秘密が露呈してしまうんじゃないかと怖れている。
それはほんものの恐怖だ。みんなに知られてしまう!だがこれは目新しい話じゃない。最近
はじまったことではないのだ。」(ニール・ヤング自伝I第7章より)
 
 
彼の音楽を愛する人は、彼という人間を愛する人であり、よって彼の感性、思索、生き方が
詰まったこの本を心から楽しめる事だろう。だがそうでない人がこれを読んで感銘を受ける
ことが果たしてあるのだろうか?
 
「デイヴィッド・ブリッグスはよく“人生はクソのサンドイッチだ。食うのが嫌なら飢え死に
しろ”といっていた。デイヴィッドはわたしのプロデューサーだった男だ。(中略)いっしょに
仕事がしづらい男だったが、みんな彼のことは大好きだった。それは彼がベストだったからだ。
“すごくなれなきゃ消えちまえ”もやはり、彼のお気に入りだった表現だ。」
 
「考えながら曲をつくるのは最悪だ。だから単純に弾きはじめ、すると新しいなにかがあらわ
れる。どこから?そんなことはどうでもいい。とにかくその流れに乗っていく。それがわたしの
やりかただ。決して出来栄えを評価したりはしない。わたしはその曲を信じている。それは
楽器を手に取ったとき天からさずかり、楽器を弾いていくうちに、わたしを通って出てくるもの
なのだ。」
 
「最近のわたしは自分の音楽的な自我に飽きている。過剰摂取の段階に達したのだ。こうなると
一時的とはいえ、音楽を楽しむ能力が完全に消え失せてしまう。(中略)それはプロセスの
一環で、今までにも何度か経験した。前回は2009年の終わり近く——あのツアーを終える
と、もうストップするしかなくなった。いいものを食べすぎたのだ。こうなると、他人の
音楽にもげんなりする。全部いっしょに聞こえるのだ。」
 
「時にはわたしがグルーヴにはまり、バンドとも万事うまくいっていたのに、ある朝目を
覚ますと、すべてが終わっている事もある。理由はわからない。だがまちがいなく変化の時が
めぐってきたのだ。この変化は恣意的なものでも、気まぐれなものでもない。創造的なプロセス
を絶やさず、盛り上げていくためにはなにが必要なのかという、潜在的な感覚から生じている。
時にはスムースなプロセスが、退化や死の先触れとなることもある。だからかりに破壊的な
ものであっても、変化はどうしても必要だ。」
 
 
2013.10.8.

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“ただいま読書中、、、” への3件のフィードバック

  1. d より:

    僕も武骨なニールが好きです。出張の新幹線の中で読んでみようかななんて考えています。
    昨夜はお疲れさまでした。楽しめました。キューバの音楽がまた好きになりました。次回の草の家を楽しみにしています。

    • ryuji より:

      dさんへ
      昨日もお越しいただき有難うございました。
      ようやくdさんの身元が確認できホッとしております。
      「鋭いご質問をされる方なのでこっちも気が抜けません。」と壇先生がおっしゃってました(笑)。
      わざわざ太宰府まで足をお運びくださるのですね。
      恐縮です、ほんとに、、、。
      今度こそゆっくりお話しましょ~。

  2. d より:

    恐縮なんて・・・僕は松下さんのファンなんですから。大宰府には愛妻と伺います。きちんとご挨拶させてください。よろしくお願いします。

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