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『Capricho Arabe』の周りで(その2)

 
そういえば合奏練習の初回の日、集まってくださった10名前後のメンバーに尋ねてみた。
「これまでに”カプリチオ・アラベ”を独奏で練習したことのある方、どのくらいいらっしゃい
ますかぁ?(挙手!)」
それは驚きの結果だった。なんとひとりもいなかったのである、、、。
 
 
同じタレガでも”アランブラ”だったら、ほとんどの方が(私が思うに)かなり早い段階で自ら
飛び込むものだが、この違いは一体何なんだ?とあらためて考えてみるきっかけになった。
 
《アランブラに飛び込む要因》
 
*トレモロ奏法に対するあこがれと挑戦
*邦題の”宮殿”という言葉の響きが醸し出す魅力(クリムゾンと一緒ね)
*ずっとトレモロなので、音価やリズムなど譜割りで悩む必要がない
*技術の種類はそこまで多彩ではない(もちろん深くやっていくといろいろ出てくる)
*ギター愛好家でないひとにも知られている【ギターオリジナル3大有名曲】のひとつ
*多くの生徒さんが弾いているから
 
 
《カプリチオ・アラベに飛び込まない要因》
 
*名人芸のように弾く人が多いため、難易度が高そうなイメージ
*譜割りがめんどくさい
*カデンツァを見てひるむ(そういえば子どもの頃、A.カーノの”ワルツ・アンダン
ティーノ”の楽譜を見た瞬間「げっ」と思った、、、)
*スペインギター美学的な音色センスを盛り込まないと、いまひとつ満足感が得られない
 
と、まあ、私から見てこんなとこだろうか、、、
 
 
この2曲の共通点としては
*アラブへの憧憬(エキゾチシズム)を題材としている
*ギターの指板上、ローポジからハイポジまでまんべんなく使用する
 
アランブラとこの曲が異なる点としては
*前者はほぼアルアイレのみでも演奏が成立するが、後者はアルアイレのみの演奏ではタレガの
美学的に成立しない(ワタスのものすごい偏見)
 
つまり”スペインギターのアポヤンド奏法に魅力を感じるひと”でないと、この曲に取り組む気は
起こらないのではなかろうか、、、そう、ここは結構肝心なポイントよ、、、。
 
 
今回、合奏用にカプリチオ・アラベを編曲した直接のきっかけは、丁度2年前にさかのぼる。
 
北九州で池田氏が主宰したコンサート『わたしたちのスペイン』。
彼のスペイン留学の先輩たちが関東、関西から集結し、ギターアンサンブルによるスペイン音楽
を見事に披露した。その日のプログラムのなかでひときわ私の印象に残ったのはギター五重奏に
よるサルスエラ音楽の数々だった。
あの日のコンサートで、ギターアンサンブルによる”スペイン音楽演奏の可能性”がしっかりと
私の中に刻み込まれた気がする(あの日の5人の名手に感謝!)。
 
次回(最終回)は、この曲のごく簡単、かつ大雑把なわたし流のアナリーゼを載せてみたい。
 
(つづく)
 

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