唐人町ギター教室では、楽譜が読めない初心者の方からプロを目指している上級者まで、現役プロミュージシャンが丁寧に指導致します

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コンクールというものについて(その1)

 
クラシックギターの世界には“コンクール”というものが存在する。
 
 
「そんなもん、どの世界でも存在しますがな、、、。」
と思う方もいらっしゃるかもしれない。
しかし世の中にたくさん存在する“楽器群”のなかで、やはり「独奏」に重きを置いている楽器の
ほうがコンクールというものを重視する傾向が強いんじゃないか、、、そんな気がする。
まあ、ブラスバンドのコンクールなんかもあることはあるが、、、。
 
 
日本国内だけでも8~10ほどのクラシック・ギター・コンクールが存在する。
コンクールによっては重奏、合奏部門を設けているところもあるが、それは申し訳程度でほとん
どのコンクールが力を入れているのは、「独奏部門」である、と言っていい。
わたしがコンクールを受けていた十代後半~二十代前半の頃は日本の音楽大学に“クラシック
ギター科”が存在しなかったこともあり、プロを目指す若者はまず国内の主要なギター・コンクー
ルで優勝し、そののち海外へ留学、、、というのがお決まりのコースで、当時のわたしも
その事自体には何の疑いも持っていなかった。
 
 
今振り返ると多少おかしな話である。
「独奏が上手に出来るかどうか、、、」という事のみが評価に値する事であり、他の能力を磨く
事については「まあ、それぞれテキトーにやっとくように、、、」的ないい加減さが当時の
ギター界には蔓延していた。
しかし実際にギタリストとして、ここ二十年ほど活動してきた上で確信をもって言うのだが、
演奏の仕事に関してはソロよりも圧倒的にアンサンブルのほうが多い。つまりソロ演奏の練習
ばかりで、他楽器とのアンサンブルを避けてばかりいるギタリストに演奏の仕事はない。
 
 
アンサンブル能力を鍛えるには、実際の現場で失敗したり、成功したり、恥をかいたりしながら
やっていくしかないのだが、既存の出版譜だけに頼っていてはレパートリーが非常に限られて
くるので、今度はレパートリー拡充の為の「編曲の能力」も必要になってくる。しかし独奏
コンクールにエネルギーの大半を費やしている若者にはそんなことを勉強するヒマはない。
 
 
それでは独奏能力を鍛える事がギタリストとして全く無意味であるかというと、もちろんそんな
ことはない。ただ若者達に理解しておいて欲しいのは、一所懸命ソロを練習し仮にコンクールで
優勝したとしても、その先にギタリストとしての輝かしい未来が待っているなどと勘違いしては
いけない。
先ほどからしつこく言っているように「ソロが上手に弾ける」ということは、プロギタリストと
して活動してゆく為に必要な能力のほんの一部分にすぎないのである。
ここで重要なのは、自分の成長の為に“コンクール”というものをどう活用すべきか、ということ
であると思う。
 
(つづく)
 

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