唐人町ギター教室では、楽譜が読めない初心者の方からプロを目指している上級者まで、現役プロミュージシャンが丁寧に指導致します

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再度ふりかえる

 

自分のコンサート量が減ったせいか ひとつのイヴェントを終えた後 それらについて振り返る時間が以前よりも増えたような気がする

これまではひとつのイヴェントを終えたら あまり振り返ることなく「はい、次!」と進んでいたのだが 最近は自分関連のものはおろか 人様のやったイヴェントのことまで 長期間 尾を引くように考え続けている

先日北九州でのJ.L.ゴンサレス追悼企画のイヴェントは 私にとってすばらしかった

なにがすばらしかったのだろう? よくはわからない

出演した3人の同年代ギタリストにとって ”ホセ・ルイス” という響きは 単に師匠というものを超えて「自分の青春の一部」という存在に違いない 日本から遠く離れたスペインという地で ギター仲間として20代前半を数年間共にする、、、というのは 人生においてやはり特殊な時期であり経験であろう 

私も経験があるのでわかるのだが 留学中に師匠から教わったことは 多分その時点では理解できない

帰国後 ギタリストとして生活を始め 活動してゆく中で 自分の留学を改めて捉えなおした折 初めて「あの時 師匠がこう言った」ということをふと思い出したりする そのとき言葉そのものとセットで脳裏によみがえるのが その瞬間の師匠の表情や語りくち 仕草 その場の空気や においだったり、、、(記憶というのは五感の記憶であり これらは切り離すと 面白味のない ”ただの言葉” となってゆく)

彼らに限らず ホセ・ルイス門下生は これらの体験を豊富に持っている というのが私の印象 

これが結構うらやましい 

<ひとりのギタリスト>として 両足を地に着けてやっていくためには 一旦そこから距離を置かねば むずかしいのも事実である

広い世界ででも通用する自分を確認するため ふるさとと自分を切り離すのに似ている

だが月日が経ち 幾重にも経験を積むほどに ふるさとが自分に与えてくれたものの大きさとあたたかさを知る

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ホセ・ルイスというふるさとに対する 3人それぞれの「実感のピント」が これまでになく合ってきたのを感じたのが 先日のイヴェントだった

池田氏については 近すぎてわからないが

富川氏はこれまで<アンチテーゼのひと>という側面が強かったが これまでになくジンテーゼの領域に入っているのが感じられた

岩崎氏は 何時どんな時も ふるさとを心のそばにおいて 活動を続けてきた稀有なギタリスト

この3人の温度が かつてないほど噛み合ったイヴェントだった

 

2023.11.18.

 

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