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興味ということ

 

「自分の演奏に対し興味がない」というのがここ最近

 

「ジストニアにかかずりあっていることで、演奏が思うようにいかない」というのが一番の原因だとは思うが、自分の演奏に興味がないことで、他者の演奏に対しても興味を失ってくるのがどうしたものか、、、。

特に「複数人数ぶんのことをひとりで曲芸的にこなしている」といったいわゆる ” 近代テクノロジータイプ ” のソロ演奏には、ここ近年益々興味を失ってきた。これもジストニアのせいかもしれないし、たんに歳なのかもしれない。

好きな演奏をするギタリストは、僕の身近に充分すぎるほど居る。そのかたがたの演奏を聴いていると「ギターってほんとうにいいなあ」という感じで自分が充たされ、彼らに対していつも尊敬の念を感じるのである。ただわたしが《興味をもって》聞きたいと思うギタリストが現在そこまでいるわけではない(これは矛盾ではなく、単に言葉上のニュアンスの問題だということもわかっている)。

 

” 興味 ” ってなんだろう、、、” 期待 ” という言葉に置き換えが可能かもしれない。それはおそらくいまだ固まってない、変化、および成長し続けているものに対して抱くものであり、それに触れることにより、こちら側の意識、思い、感じ方などが動かされるものに対して抱くものであるだろう。

自分に興味が持てないということは、自分に期待が持てないということであり、他者に興味が持てないということは、他者にこちら側を変えるだけのなにかを期待していないということなのだろう。

そんな最近の私に興味をもたせる数少ないギタリストのひとり、松本富有樹さんのソロコンサートに昨日行ってきた。モダンギターとバロックギターを持ち替えながらの決して荒ぶることのない、しずかに美しい彼特有の世界が、話を交えながら一時間に渡り展開していった。

熊本のホールが主催する、若手を応援するコンサートシリーズとしての舞台だったこともあり、全体に耳に馴染みやすい配慮のプログラミングがなされていた。

鐘の響き(J.ペルナンブコ)、ワルツ4番(A.バリオス)、この道(山田耕作)、イエスタデイ(レノン&マッカートニー/武光編)、マリサパロス~カナリオス(G.サンス)、プレリュード~チャコーナ(F.コルベッタ)、アランブラの思い出(F.タレガ)、大聖堂(A.バリオス)、

アンコールとしてファンタジア(F.ダ・ミラノ)、11月のある日(L.ブローウェル)

ホール客席のかたすみで、本当にいろんなことを感じ、いろんなことを思いながら聞いた。それは今の私にとって、まぎれもなく興味深い世界だった。帰国してから現在まで、いまだ変化し続けている彼の世界に触れ、こちら側にとっても、今後を考えるヒントがあちこちにちりばめられたそんな世界だった。

 

2023.10.12.

 

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“興味ということ” への2件のフィードバック

  1. 村田陽子 より:

    「興味と期待」う~ン、なるほど。本質的分析を久々に感じました。松本富有樹さんのご精進、プログラム、演奏スタイル、音楽に対する姿勢…聴きたかったです。

    • 松下隆二 より:

      村田陽子さま
       
      いつもコメントありがとうございます。
      ブログというものが単なる独り言だと分かってはいても、こうしてコメントをいただけることがなによりもうれしく、次に向かうエネルギーになります!

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