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小澤敏也さん(その2)

 
ピカイア・パンデイロ・スペシャルのライヴを初めて体験してから何週間後のことだったろう。
自宅の電話で木下氏と話し終えた私は、受話器をおいたあと思わずガッツポーズをとっていた。
なんと栃木県佐野市でラテンアメリカ音楽コンサート「しあわせの架け橋」の第二弾をやるの
だが、良かったらメンバーとして参加しませんか?というお話を戴いたのだ!
なんということだ!夢のようではないか!
あのメンバーの中に私が入るなんて、、、(きゃ~!)。
翌日からの私はもはやその日のためだけに生きているようなものだった。
 
 
しかし日が近づくにつれ、次第にある種の不安が募ってきた。
演奏のメンバーは木下尊惇(ギター、チャランゴ、ヴォーカル)菱本幸二(ケーナ、シーク)
クラウディア・ゴサルベス(ヴァイオリン)上松美香(アルパ)イルマ・オスノ(舞踊、歌、
パーカッション)渡辺隆雄(トランペット、パーカッション)渡辺亮(パーカッション)
小澤敏也(パーカッション)山田やーそ裕(7弦ギター)松下隆二(ギター)以上10名。
見ればお分かりだろう、、、。私以外の全員がラテン音楽の超スペシャリストである。
これで気後れしない人間がいるものか、、、。
でもやるしかないのだ!わたしを大抜擢してくださった木下氏の顔をつぶさない為にも。
 
 
それは「佐野音楽鑑賞会」の主催する、二日間にわたる三公演のコンサートだった。
このメンバーで三回も舞台が踏めるなんて、なんて“しあわせな架け橋”なんだ!!
しかもこのメンバーたちの凄いところは、なんと全員がそう感じていた事である。
 
 
私は出演者でありながら、ステージ上で客の一人と化してしまっていた、、、。
何と素晴らしい!これだけメンバーが居ながら、無駄な音が一切ない。どのメンバーも
バッキングのときはグルーヴの火を絶やさず、自分のソロになると積極的に前に出て行く。
独りでもステージを充分こなせる実力を持った人間が、お互いにリスペクトし合いながら
アンサンブルを進めていくと、こんなにも素晴らしい世界が出来上がるんだ、、、。
そしてアンコールのラスト、渡辺亮さんのパーカッション・ソロの導入により、あの
「レヴォルタ・オロドゥム」
が始まった。
 
小澤さんが熱唱する。
あの歌声だ、、、胸が熱くなる。
そして一瞬だけ、ほんの一瞬だけ、しあわせである事がこわくなる瞬間があったが、その不安は
すぐに消え、私はふたたびしあわせな音の渦に入っていった。
 
(つづく)
 
IMGP4990

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