昨日4日 福岡市内の会場で「ロマンティック・ギター史~F.タレガとその前時代」と題した企画を開催した
クラシックギター史の分野において 現在の日本を代表するスペシャリストであり 優れたギタリストである富川勝智氏を講師にお迎えした今回の企画 古典期のソル没後から後期ロマン派のタレガ登場に至るまでの時代について 約一時間半に渡り 講演して頂いた
現代において情報(データ)というものは簡単にリサーチでき 且つ容易に手に入れることが出来る
だがそれらの情報はあくまで点だ それらの点をどのように線にしてゆくかは 人為的な創造作業であり 研究者個々人のセンスということになる
その時に完全なる客観というものはあり得ない すなわち「私はこれらの点をこういう線として見たい 捉えたい」という研究者の主観にこそ価値があり 同時にそこに説得力をもたせる必要も生じてくる
富川氏の話をうかがっていて 終始私が面白かったのはまさにそこであり 主観と客観の絶妙なバランス そしてそれらを可能な限りポップな形で提供しようという柔軟性と心遣いが強く印象に残った
今回この企画は 富川氏と留学時代から親交を持ち続けてあるギタリスト池田慎司さんのお力添えが無ければ実現できなかった この日の彼の素晴らしく印象的なソロ演奏と併せて感謝の意を表したい
この日 富川氏の講演の合い間に演奏された曲目は以下の通り
エチュード(D.アグアド)~富川
エチュードOp.38-6(N.コスト)忘却(S.プラッテン)~松下
夕暮れ(J.ブロカ)~富川
アンダンテ・カンタービレ(A.カーノ)夢(J.ビーニャス)~池田
ボレロ(J.アルカス)君がいない(J.フェレール)~富川
【以下 F.タレガ作品】
アデリータ、プレリュードNo.5~池田
マリア、パヴァーナ~松下
モーロ舞曲、アラビア風奇想曲~富川