唐人町ギター教室では、楽譜が読めない初心者の方からプロを目指している上級者まで、現役プロミュージシャンが丁寧に指導致します

Blog

木下尊惇フォルクローレ・コンサート九州ツアー2014

 
神奈川県在住のフォルクローレ・ミュージシャン木下尊惇氏の九州ツアーが一週間かけて行なわ
れ、無事終了した。お忙しい中、暑い中、ご来場下さった各地のお客様に心から感謝したい。
 
 
今年のツアーは八月五日の福岡を皮切りに、六日の大分、九日の日向(台風の為十日に変更)、
十一日の北九州、以上四公演が行なわれた。各公演主催者はクラシックギター教室の先生方で
あったが、今回のツアーの目玉のひとつとして挙げられるのが、木下氏が各地の主催者と共演
する為に、新たに書き下ろした「新曲」のお披露目であった。
これまで“自然”や“森羅万象”またある時は“季節”、そして2011年震災以後は“ふくしま”を
テーマやモチーフとして作曲してきた氏であるが、今回印象的だったのは「暮らしの中にある
“手作業”」が新曲群の一貫したモチーフとして使われていることであった。
 
 
氏が日常行っている「農作業」、震災以後毎月訪れ交流を深めている「ふくしまの人々との
対話」、若い頃十年の年月を過ごし現在も繋がりのある「ボリビアの文化と日常」、そういった
ことから導き出された、今の氏が最も伝えたい
“ひとが生きてゆくために必要なもの”
“かけがえのないもの”
それらをさりげなく(非常にさりげなく)音楽に託しており、毎回の事であるが、今回もその
ことが氏のコンサートに通常の“コンサート”とは一線を画す深みを感じさせる要因となって
いた。
 
 
音楽を奏でるひとは(特にプロフェッショナルは)音楽のことだけを専門的に考え、ひたすら
練習すれば素敵な音楽にたどり着けるのだろうか?そんなはずはない。日常からはなれた音楽は
決して人の心を揺さぶらない。日常にさりげなく横たわっていることの中に大切でかけがえの
ないことがある。そこに目を向ければ、、、。
 
フォルクローレ哲学に基づいた木下尊惇の世界は、今回もわけへだてなく、やさしく、すべての
ひとに語りかけていた。
 
 
2014.8.12.
 

カテゴリー:

“木下尊惇フォルクローレ・コンサート九州ツアー2014” への2件のフィードバック

  1. S.Hongou より:

    4年ぶりに木下氏の音楽を聞くことができ、本当に至福の時間でした。
    生活の側にある音楽は地域を超えて、まっすぐに五感に訴えてくることがあるように感じます。
    大げさではありますが、人間が何故、音楽を見つけて今も手放さずにいるのか、その最初の大事な部分を伝えていただけたような気がいたします。
    ありがとうございました。

    • ryuji より:

      Hongouさんのおしゃっている事が決して「大げさ」なことではない、と木下氏のコンサートにこの近年足を運ばれた方は感じるのではないでしょうか。千年後の地球、千年後の人類に何を残せるか、何を残すべきか、、、そうした視点に立った方が、百年後を考えるよりももっと本質が見え易い、、、とそんな意味のことをおっしゃっていました。
      音楽にしても生活にしても「自分が生きている時代」だけでなく、「自分が生まれるまえ」と「死んだあと」も視野に入っているものか、そうでないか、、、。
      その差は大きい気がします。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です