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『フリア・フロリダ』の周りで(その3)

 

とは言ったものの 私が過去に好きだった他者の演奏を思い起こすと そのことはあまり重要ではないのかもしれない

 

曲の構成を感じさせる演奏

ギターという楽器の音の美しさを感じさせる演奏

それまで気づかなかった”ある声部の動き”に目を向けさせてくれる演奏

バルカローレの世界を感じさせる演奏

ロマン派の世界を感じさせる演奏

バリオスの世界を感じさせる演奏

 

など それぞれに価値があり 正解などないのだから

 

ただ自分が目指すものに対して 可能な限り”妥協点が高い”ことが 私にとって大切で この記事を読んでくださった方が 「いや、自分はそうは思わない」とか 「私は他の〇〇のことを大切にしながら弾いている」というふうに ご自身のとらえ方を整理するのに活用してくだされば本望である

私なりの旋律アナリーゼを右に示す 松下流 Julia Florida 旋律大雑把把握

 

この曲に使われている要素でおもしろいなと個人的に感じるのは

*五度音ラを軸にした場面A

*各場面で印象的に使われる二度音程の揺れ

*Dメジャー、Dマイナー各コードの中で ときおり印象的にあらわれる六度音シ

*場面Cにおける調性の動き

といったところ

 

6 / 8 のなかで舟歌として揺れ続けることになるが 4拍目のほうが1拍目より浮いた感じが出ることが大切だと感じている その際2・3・4と浮いてゆき 5・6・1と落ち着いてゆく

 

場面Bの5小節目であるが ここからの4小節を弾くときに三拍子のノリで弾いたほうが 私の場合時間を持て余さずに済んでいる あくまで個人的趣味の域であるが そうしたほうが「シのオクターブ跳躍を六拍子のなかで情感豊かに表現する」といった束縛から解放されるのだ

 

場面Cに入るひとつ前の小節 「1拍目のバス Fis は絶対におかしい」と主張する友人がいる 多くのギタリストは既に耳が慣れすぎてしまっているが 彼の言うことはスジは通っている すなわちA7のコードトーンがくるほうが作曲としては自然であり そうするとこの場合ラである可能性が最も高い あくまで可能性の話である

 

あと楽譜上は割愛したが コーダのライトハンド・ハーモニクスのラスト ベニーテスでもレの版とシの版があるのはご存じの通り レは言わずもがな曲の《主音》であり シはこの曲中 印象的に使われ続けた《六度音》 私は好みで六度音をとるかな どうせ最後はナチュラル・ハーモニクスの主音でしめるのだから

 

(おわり)

 

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