西山先生にたずねてみた。ジストニア症状をうったえて、過去に先生のもとを訪れた方の何割くらいが、いわゆる本物の局所性ジストニア(脳からの指令の誤作動によるもの)だったのか?
答えは【二割程度】
つまり八割のひとは【伸筋(部位によっては屈筋)の筋力低下】をおこしている人であり、筋力低下をおこしている筋肉に対し、それぞれに必要なトレーニングをした結果、改善するそうである。
それら八割と二割のひとを足した十割を、現在の医学界はひとからげに《局所性ジストニア》と呼んでいるのだが、西山先生に言わせると、その八割のひとの症状には「もうたいがいで別の名前を付けたい」そうだ。
先生のリトレーニングの進め方としては、まずはじめに「そのひとが本当のジストニアかどうか」を知るために、数か月は筋トレに費やす(主に輪ゴムやペットボトルを使用)。その筋トレの様子を観察しながら、各自に必要なトレーニング・メニューにどんどんカスタマイズしてゆく。4~6ヵ月で多くの人が変化を感じ始める(ここまでの段階で治ってしまう人もいるらしい)。筋力の土台がしっかりできたところで、脳の中にある運動プログラムを書き換えてゆき、磨いていく作業に入る、、、。
そこまでやることをやったうえで、局所性ジストニア治療の最終手段として、必要な方はもちろんボトックスや定位脳手術を試す可能性も出てくるが、特に定位脳手術に関しては安全性が確立されておらず、やめておいたほうがよい、とのこと。
ちなみにトレーニングを始めて、土台の筋力がつくまで私が一年以上かかっているのは、ジストニア症状以前に、右手に震えの症状を長年抱えていたからである(右手に持ったスプーンで砂糖をすくって運ぶことが出来ないくらい震えていた)。トレーニングを始める段階で「 ” 震え ” がある人は時間がかかります」と先生から言われていたので、覚悟はしていた。
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これまで私が、このブログ記事『ジストニアとの対話』のなかで試行錯誤してきた数々のことは、決して無駄ではない。無駄ではないが、土台の筋力が無い状態で、楽器の上だけでいろいろとやるのは「結果としてほとんど効果がなかった」と言ってよい。骨や関節、筋肉や神経などの因果関係を理解している専門家でないと、動きひとつを見て「こういう動きをしているということは、ここの筋肉が落ちているので強化する必要がある」というふうに判断することはほとんど不可能である。画一化された方法があるわけではなく、ひとりひとり症状や原因が違うということもあるので、なおさらである。
土台の筋力がついたときから、楽器の上での試行錯誤が始まる。今現在わたしがいるのはその段階である。それもひとりではなく西山先生についてもらいながら、自分の指の動きを観察し、新たに必要な筋トレをプラスしていく毎日である。
とにかく現在の個人的目標は、私自身が西山先生のアドヴァイスを ” しっかり実行して完治する ” こと。完治することで、他のジストニア症状の方々に自信をもってお勧めできる《治癒の方法例》がひとつ確立される、ということ。
という感じで取り敢えず現在続けております。
(つづく)