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Dystonia

ジストニアとの対話~セクション15

 

前回の記事から、じつに一年3ヵ月経ってしまった、、、。これには一応、私なりの理由はあったのだ。

世の中にはあたかも「ジストニアを自分なら治せる」かのごとく振舞ったり、発言したりする専門家が多く、それらに対しかなり懐疑的にならざるを得ない自分がいた(なにせ ” 他者の手 ” をあきらめて、自主的リハビリの試行錯誤に踏み切るまで、7万円以上を費やしていたのだから無理もない)。決して「自分で解決できる」とタカをくくっていたわけでもなく、思い上がっていたわけでもなく、専門家(他者)を信頼することができなかったので、やむを得ずそうしたまでのこと。

しかし前回の記事でお分かりいただけるように、そこに限界を感じたのが、昨年5月。その時、東京の師匠、坂場氏からご紹介いただいた理学療法士の西山先生に連絡をとってみた。ジストニア症状の改善に向けたそれまでにない視点を、自分のなかに取り入れたかったのだ。

ちなみに理学療法士というのは医者ではない。医者のように、症状に対する治療はしない。ただ症状を改善するためのアドバイスをしてくれ、その結果や様子を観察しながら、次のアドバイスをくださる。つまりはギター教室と同じで、アドバイスを受け、実践するのはあくまで生徒のガワである。

西山先生は、現在世界中のジストニア研究者の中でも、ダントツの症例数をお持ちである。もともとは陸上選手(ランナー)の症状を専門とされていたが、《書痙》や《手のジストニア症状》との類似性及び共通点から、そちらも診るようになられた、とのこと。

その西山先生ご指導の下、この一年三ヵ月ほぼ毎日、改善のための自主トレーニングを実践してきた。直接の施術は二ヵ月に一度の割合で、現在も受け続けている。その結果、ジストニア以前の頃の動きにはまだほど遠くはあるが、うっすらと改善してきているのを感じる。

それではじめの言い訳に戻るのだが、他者に身を委ねている以上、ある程度まで改善が実感できてからでないと、皆様に報告できないと考えていたのがひとつ。

もうひとつは、トレーニング内容に関しての著作権が、ある程度生じる、と忖度したこと。

主にこれら二つの理由により、前回記事からこれだけの間が空くことになってしまった。

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西山先生が、これまで分けてくださった見解の中から、とくに重要だと思うふたつのポイントを皆様にお伝えしたい。

*局所性ジストニア症状を訴えているひとの八割(つまりほとんど)が、実は【局所性ジストニア】ではなく、単に【筋力低下】をおこしているだけである。

*《動作特異性》の名からも分かるように、ある特定の動きをした時のみ症状が出るものをジストニアと呼ぶが、たとえば日常の他の動作でも動きに支障が出る場合、そのひとはジストニアではない、と言える。(たとえばパソコンのキーボードを使う際にも支障が出る、など)

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以上の二点に関しては、仮説のレベルではなく確信していらっしゃるようだ。

「これまでギターしっかり練習していたし、日常生活においても、これまで ” 筋力落ちたなー ” という実感もなかったのに、、、」という思いはあったが、どうも人間の身体というものは、坂場氏もおっしゃっていたように、複雑なもののようである。

指の動きをつかさどる筋肉には、大きく分けて屈筋(指を曲げる筋)と伸筋(指を伸ばす筋)があるのだが、練習中に「指をこういうふうに動かそう」などの ” 意識 ” が入ってくると、屈筋に脳から指令が行くのだが、そのさい指令が行かない伸筋のほうで筋力低下を起こす、というメカニズムらしいのである。

つまり練習時に、動作を【意識】でコントロールしようとすることが、伸筋の筋力低下につながり、屈筋と伸筋のあいだで互いにバランスが保てなくなり、巻き込んだり、伸びきったり、、、という現象につながるとのこと。

とりあえず、本日はここまで。

記事再開のきっかけをくださった広島のNさんに、心から感謝している。

 

2023.08.23.

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