今回はコラム的な内容である。
私は2020年11月ごろにジストニア症状を自覚し、2024年4月現在に至るまでリハビリトレーニングを続けている。症状そのものは少しずつ少しずつではあるが、改善してきているのを感じる。
トレーニングを続けるかたわら、演奏活動もしている。私の演奏を実際聴いた人は「なんだ、もう治ってるじゃないか」と感じるようであるが、それは単にジストニア症状が表に出ないような選曲をしたり、演奏にそこまで支障のない技術を駆使しているからであり、実際の不自由さは本人にしかわからない。
私の場合、右手 i 指に症状を抱えており、残る p,m,a の三本を駆使しながら、やれる範囲のことだけをやっている。《古典のアルペジオ・パターン》や《和音の連続》が最も困難ではあるものの、最近では i 指を時折、演奏に参加させられるまでになってきた。
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自分の目の前にいる相手が、身体的に不自由な方とわかった時、あなたはどう対応するだろうか?
① 気を遣ってその話題を避ける
② いっさい気を遣わず普段通り
③ 相手に寄り添うかのように話を聞き、励ます
選択肢はいろいろあり、そこにもちろん正解などはない。各人の自由である。
ジストニアの場合、それがどういった症状なのかは、相手に正確に知られていないことがほとんどである。だからまずそれを伝えることから始めなければならない。
《動作の反復(練習)が原因で、脳神経が誤作動を起こし、手指が自分の思った通りに動かなくなる。改善の方法は現時点で医学的に見つかっておらず、運よく改善した人も、その改善に10年以上かかることも多い。私がついているリハビリの先生(ジストニア症状改善の第一人者、西山祐二朗先生)によると、ジストニア症状を訴える人のじつに八割が ” 本当のジストニア ” ではなく、「手や腕が筋力低下をおこしているだけ」らしい・・・》
相手の方に以上のような内容を説明することになる。
こちらとしては話題を避けてもらうよりは、むしろ理解してもらう方が、その後なにかとありがたいことが多い。かといって別段、説明したい欲求がこちらにあるわけでもなく、その話題を放置してくださっても全然かまわない。
③ の《相手に寄り添うように話を聞く》のは、”聞く”まではいいのだが、数週間後あるいは数か月後、再びお会いした時に「ジストニアはもうよくなりましたか?」と聞かれることが一番つらい。治療方法もいまだ確立されておらず、いつ治るかわからない冥府魔道を生きる日々、、、。日々試行錯誤しながら憂鬱と向き合っている人間に対し、気遣いとは言え、それは気遣いになっていない。なぜなら「そんなに簡単に治るものではない」という現実をあらためて突きつけられつつ再び説明しなければいけないのが、こちらとしては苦痛なのである。ところが説明してもそういう人々に限って、こちらが説明する内容そのものはどうでもよく「寄り添い励ますこと自体が大切だ」と信じている人たちなのである。意外と多いのよ、こういう人たち(おばちゃんに特に)。
気持ちはわからないでもないが、、、、、、、、、、、やだやだ(笑)。
2021.04.08.