唐人町ギター教室では、楽譜が読めない初心者の方からプロを目指している上級者まで、現役プロミュージシャンが丁寧に指導致します

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アランブラ・メモ(その3)

 
連載3回目にして白状するが、私はトレモロが苦手であった(あえて過去形)。
 
 
これは私の身近なギター関係者は誰もがよく知っている事実で、このたびブログでこのような
テーマを採りあげた私を「一体どうしちゃったの?自ら墓穴を掘るようなことをして」と思って
いるギター関係者がきっと大勢居るに違いない。
 
 
ギターと関わり始めて来年で40年、プロ活動を始めて22年になるが、その中で事ある毎に
リクエストされる ” アランブラ ” をある時はかわし、ある時は逃げ、また、ある時は立ち向かい
ながら、こんにちまで生きてきた。
世界中多くの人が愛奏するこの曲を弾くにあたって、なぜ私の場合こんなに四苦八苦する羽目に
なるのかが長年の謎だった、、、。
 
 
(プロ活動を始めてからは)ほぼ毎日この曲を弾いているのに、一向に上達しなかったという
私の個人的経験は、端的に ” ある事実 ” を示している。
その事実とは、生徒さんがよく考えがちな「長年練習を積み重ねていればいつの日か弾けるよう
になるだろう」という ” 淡い期待 ” が決して報われるものではない、ということである。
 
 
弾けないものが弾けるようになるためには、” それまでの弾けない自分 ” に対し、何らかの
別な価値観や考え方をプラスする必要がある。ただ繰り返すだけでは、ものごとは上達しない。
つまりものごとを一段上のステップにすすめるためには、それまで自分が積み重ねてきたものに
固執せず、それをいったんわきに置いて《変化という冒険》に飛び込めるかどうか、、、だと
私は思う。
とはいえ「アランブラ」の場合、私は決してだらだらとやっていたわけではない。自分に合った
解決法をなかなか見い出すことが出来なかっただけだ。
 
 
ちなみに私自身がどういう水準のアランブラを求めていたか、、、。
この曲において、じつは私は他人の演奏で不満を持ったことなどない。
決して「ひとなみ外れた美しい最高のアランブラ」を目指していたわけでもない。
私の願いは、「とにかく人前でひとなみのアランブラが弾きたい」という非常にささやかなもの
だったのである(なにが ” ひとなみ ” なのかもよくわからんが、、、笑)。
 
 
生徒さんのレッスンを通じ、これまで数えきれないほど多くの方と「アランブラ」を共に学んで
きたが、” トレモロ ” という技術に関してはプロアマ問わず、本当に得意不得意がハッキリと
出てしまう。ギターをやっている年数など関係ない。「ギターを始めて3年目」の生徒さんが
わたしよりも素晴らしいトレモロをあっという間に実現してしまう場面を、実際これまで何度も
目の当たりにしてきた。
 
 
そういう方は全然心配いらない。
私が心底願っているのは、私と同様トレモロの習得で悩み苦しんでるひとの為に、私自身一日も
早く、解決策を見出すことだった。
言わばトレモロが苦手な人の為の『如何にひとなみのトレモロを獲得するか』というメソッド
の探求である。
 
次回から具体的な技術に言及してゆきたいと思っている。
待て次号!(われながら引っ張るなぁ、、、笑)
 
(つづく)
 

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“アランブラ・メモ(その3)” への6件のフィードバック

  1. S.Hongo より:

    ここで、…トレモロとは、をお聞きしてよいのだろうかと思いつつ、ぼんやりとしか知らないことなので、どういった技術と、どんな曲もしくは、表現のときに使用されるのでしょうか。
    (トレモロの曲に挑戦したことが、ありませんでした!

    • ryuji より:

      Hongoさま
      今日もレッスンおつかれさまでした。
      ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
      トレモロ(伊: tremolo)は、単一の高さの音を連続して小刻みに演奏する技法、ならびに複数の高さの音を交互に小刻みに演奏する技法である。後者はバッテリーとも呼ばれる。2度で隣接する2つの高さの音を相互に反復する場合は「トリル」であり、区別が付かないことが多い。
      ギター(アーミングを参照)、マンドリンなどの撥弦楽器や、打楽器のように音が非常に早く減衰する楽器では、長く延ばす音の代用として多用される。また、ヴァイオリンなどの擦弦楽器では、音を短く反復することによる、通常の演奏とは異なる音色を求めて行われる。ピアノでも同様であるが、擦弦楽器のトレモロの模倣として行われることも多い。
      イタリア語でtremoloとは、振動、ゆらぎの意味である。
      (ウィキペディアより)
      ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
      ギターソロにおけるトレモロとは、親指(p)で伴奏アルペジオを弾きながら、その合い間にa,m,i各指で同音を反復連打する奏法のことです。
      p,a,m,i,p,a,m,i~と運動を繰り返していきます。
      これを特殊奏法とするか、そうでないかはプロによっても意見が分かれます(私は特殊奏法だと思っています)。
      アランブラのほかにギターソロの代表的なレパートリーとしては「ラリアーネ祭(モツァーニ)」「サロンの小品(パガニーニ)」「独創的幻想曲(ヴィニャス)」「暁の鐘(デ・ラ・マーサ)」「夢(タレガ)」「夢(レゴンディ)」のほか、バリオスの諸作品があります。

  2. shun より:

    先生、引っ張りすぎっ! 早くぅ。
    紹介してくださる方法を試してみようと、まさに爪研いで待ってるのにぃ……。

    • ryuji より:

      shunさま
      め、面目ない、、、。
      悪気はないのよ。(悪意はあるけど♪)

  3. t.yoshimoto より:

    変化という冒険をやれ! 長くやれば上達するという幻想を捨てよ!とおっしゃる! ドキッとする先生のお言葉、やはりそうかー、

    • ryuji より:

      yoshimotoさま
      福岡フロイデコール定演、いよいよですね。
      トルミス『鉄への呪い』すごい曲です。
      フロイデも中島先生ご指導のもと変化し続ける合唱団ですね。

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