唐人町ギター教室では、楽譜が読めない初心者の方からプロを目指している上級者まで、現役プロミュージシャンが丁寧に指導致します

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クラシック演奏と自由(その2)

 
ここでCMのコーナーです。
長年知り合いのリュート奏者、太田耕平さん率いる【トリオ・パーチェ】の福岡公演が来たる11月20日(金)開催されます。
福岡ご出身の太田氏は中学の頃よりクラシックギターを始め、2001年よりイタリアに留学。A.セゴヴィアの愛弟子であったステファノ・グロンドーナのもと六年間研鑽を積み、2007年ヴィチェンツァ国立音楽大学を最高点首席で卒業。
その後古楽の世界に入りドイツに移住。フランクフルト国立音楽大学・古楽専門学部にてリュートを今村泰典、中世ルネサンス音楽をミロ・マクバー各氏にそれぞれ師事。2014年同大学卒業。現在はドイツ・フランクフルトを中心に演奏、教授活動をされています。
このたびのアジアツアーは『イタリアン バロック ライヴ』と題し、二挺のヴァイオリンとバロックギターおよびテオルボによるトリオ編成で、A.Vivaldi,  A.Corelli,  M.Uccellini  らの作品を取り上げる予定です。
彼としては「分かりやすく」「ダイレクトな表現」をキーワードに、敷居の高くない楽しいバロック音楽の姿を皆様にお伝えしたい、との意向で企画された今回のライヴです。是非お気軽に足をお運び下さい。
このコンサートがこのお値段って絶対安い!今月の一押しです。ちなみにチケット、ご予約はうちの唐人町ギター教室でも大丈夫です。
タイトル:【トリオ・パーチェ Trio PACE 】イタリアンバロックライヴ
日時:2015年11月20日(金)19:00開演(18:30開場)
ところ:福岡市東市民センター  ホール(福岡市東区香住ヶ丘1-12-1)
入場料:一般2000円/学生1000円
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前回の内容をまとめよう。
 
譜面に書かれていないオーソドックス(当たり前)なコード進行や展開を読み取れば、
作曲者がそれ(当たり前)をやっていない箇所が見えてくる。そこが着目すべきその
作品のクリエイティヴな部分なのだ。
そこが見えると次の話、すなわち「どう弾くか」に初めて移ってゆける。
 
今日の本題は「どう弾くか」、すなわち練習の話である。
プロのクラシック・ミュージシャンでも多いが『表現をひとつに絞って(決めて)反復
すること』がいわゆる練習だと思い込んでいるひとがいる。
だが【練習】とはエクササイズすなわち『実践』であり、本来それは『一回きり』だという
こと。
つまり「ある表現」を試したら、次に弾くときは「違う表現」を探すのがスジである。
そうやって音で遊びながらその都度その場でその瞬間に表現を探りとってゆく。
そのプロセスを経た結果、前と同じ表現になるのは別に構わない。『その瞬間つかみとった
アプローチ』でさえあれば音の生々しさ(鮮度)は即興演奏並みに保たれる。
だが表現を決め、固定し、その反復を繰り返すほど動作の安定度は増すが、安心が増えると共に
音楽そのものはリアリティを失い、死んでゆく。
つまりわたしにとって理想のクラシックコンサートとは、奏者がその場で音や表現を手探りで
チョイスしているところにお客さんが立ち会う、というものなのである。
 
 
20代~30代にかけて、クラシックギター界のマエストロ福田進一氏のレッスンを数え切れな
いほど受講および聴講させて頂いたが、氏のレッスンの面白さはいわば「表現の多様性の提示」
に尽きる。
例えば曲中のある箇所を受講生がフォルテで弾いていたとする。
「ソコはなんでそないに強く弾くネン?こう弾いた方がかっこええやろ。」
と言ってピアノ(弱音)で非常に説得力のある演奏をする。
 
しかし私は知っている、、、。
受講生が仮にその箇所をピアノで弾いていたとしたら「ソコなんでそないに弱く弾くネン?」
と福田先生はくるはずである。そして受講生がとうてい太刀打ちできないほどの説得力ある
フォルテ演奏でその場にいる人を魅了する。
 
これは一体何を意味するのだろうか?
受講生がその箇所をフォルテで弾いていようが、ピアノで弾いていようが関係ないのである。
そもそも正解や間違いなど無いのだから。
要は大切なのは「演奏表現として、あるいは音楽として成立しているか否か」であり、演奏の
方法は複数ありうる、ということである。福田氏は受講生の演奏を聞いて「音楽として成立して
いないところ」もしくは「成立の仕方として未完成」なところを『表現の多様性』を武器として
そのとき衝いたにすぎない。
 
(つづく)

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