唐人町ギター教室では、楽譜が読めない初心者の方からプロを目指している上級者まで、現役プロミュージシャンが丁寧に指導致します

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あなたと曲との付き合い方は?(その1)

 
「石の上にも三年」
という言葉がある。
 
“冷たい石の上でも三年も座りつづけていればあたたまってくる。がまん強く辛抱すれば必ず
成功する”という意味らしい。
 
ことわざや格言というものは必ず例外的なことを含んでおり、みな日常の場面において適宜都合
よく使用していることと思われるが、(ギターに限らず)習い事というものに関して
「石の上にも三年」
は、かなり当てはまる言葉のような気がする。
 
 
ギターのレッスンを始めて二十年以上の月日が流れたが、本当にさまざまな生徒さんとの出会い
があり、数え切れないほどの方が私の目の前を通り過ぎて行かれた(通り過ぎることないのに
、、、苦笑)。
私のレッスン技術が未熟なことももちろんあるのだが、生徒さんが“ギターそのもの”をやめて
いく原因は決してそれだけではない。
 
 
やめていかれた生徒さんのほとんどが三年続かなかった。
昔の人が言うように、ものごとを“三年”続けるということは非常に難しいことなのである。
逆に三年続いた生徒さんは「ギターを弾く」という行為が生活の中に定着するため、教室を
やめることはあってもギターそのものをやめてしまう事はよほどのことがない限り無い。
 
 
そこでわたしは“あるひとつのこと”を思うのである。
皆それぞれ自分なりの趣味の対象を選んでいるように見えるが、じつは選ばれているのは逆に
ヒトのほうではないか、、、。
つまり“ギターが三年続いた人”は「ギターから選ばれた人」なのだ!
 
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
さてここからは“三年ギターが続いたひと”を対象として話を進めてゆきたい。
 
今現在において“貴方と曲(ギターではない)との付き合い”はどのような感じだろうか?
常におぼえていて、いざという時いつでも爪弾ける曲を一曲でもお持ちだろうか?
(これは今現在レッスンでとりあげている“取り組み中の曲”とは全然別の話として、である)
三年以上続いている生徒さんでこの悩みをもつ人は意外に多い。
つまりギターを弾く技術は確実に上達しているが、常にその時取り組んでいる曲で手一杯で、
「いざというとき弾く、私のこの一曲」
が気がつけば一曲も無い、、、という状態。
 
 
これはただひたすらレッスンに通いつづけても解決する話でもなく、ある時期に生徒さん自身が
意識して“付き合い方”を変えたほうがいいことなのである。
つまり曲との付き合い方が「自分が上達する目的で向かい合う」というだけのスタンスから
「どれだけその曲の魅力を感じ、演奏によって引き出せるか」というスタンスへ、、、。
 
 
(つづく)
 

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“あなたと曲との付き合い方は?(その1)” への10件のフィードバック

  1. S.Hongou より:

    い、いちおう、三年は過ぎました。
    いざというとき、というのは、例えば、はい弾いて―、というときに暗譜で弾ける曲? ということなのでしょうか?
    (身についた曲? でしょうか?)

    • ryuji より:

      そうそう、、、ギターをやってることが人に知られた時
      「へー、そうなの。じゃ、なんか弾いて!」
      というあの無責任かつ横暴極まりないリクエストがきた時の話です。
      つまり相手が「アルハンブラ」という単語を思い出す前に即座に弾ける他の曲があるか、ということ(失礼!わたしの事情でんがな、それ)。

  2. T.Yoshimoto より:

    未だ1年4ヶ月!  まだいざという時に人前で弾ける曲はナシ!  まだいいか!
    と言うより弾けるようになりたい曲はある!  昔はフォークの弾き語り、その後はジプシーキングすのインスピレーション(たまたま好きな鬼平の主題曲だった(笑))
    今は一人部屋で聞くI’m a stranger here myself しかし弾けるようになるまで歳が足らん!!  しかし飲み会などでギターのある場所でギターが弾けるとバレた時には今は困る(笑)  弾きたくても、曲に魅力を感じても1年少しでは基本的な技術がない人間は我慢、我慢。

    • ryuji より:

      でも「弾きたい曲がある」というのはいいですね。それがあると上達しますよ、必ず。
      現在の進み具合も順調だと思います。
      共に楽しみましょう♪

  3. T.Yoshimoto より:

    3年我慢、我慢(笑) しかし現状のままでは3年後の現実が見える! 気軽に始めたクラシックギター、絶対うまくなるんだという決意が足らん! これじゃあ、と反省しきり!  なんでも上手くなるには強く決意することと思います、思えばロードマップを描いて実行あるのみという事でしょう。 理屈は分かっても。。。。
    美美でのレオナルドブラーボさん行かれるんですね。 店の方がおっしゃてました。
    以前、競演されたんですよね。 

    • ryuji より:

      そうですよね。やっぱり「強い決意」や「あこがれ」というのは物事が上達していく上で不可欠なように思いますが、たとえ途中でそれらが自分の中で「薄まる」時期があるとしても、続けている以上何度でも「濃くする」チャンスがある、とも思います。
      「継続は力」ですね。
      2/8レオナルドさんのソロが「珈琲の美美」で聴けます。
      その日はレッスンのあとで聴きにうかがうつもりです。
      彼の演奏は素晴らしいです!

  4. Fuzimoto より:

    Fuzimotoです。
    土曜日は有難うございました。
    昨年に続き、勉強になりました。
    モーツアルトは木管の演奏と、自分の演奏のあまりの違いに戸惑い感一杯、
    ジーグは速く弾くだけという有様で、行き詰まりの状態でしたが
    先生からの貴重なアドヴァイスで、これからの練習の方向が見えた気がしました。
    どれだけその曲の魅力を感じ、演奏によって引き出せるか、この部分に行き着ければ
    素晴らしいと思います。この2曲、暗譜だけはしていますので、頑張ってみます。
    次回もよろしくお願いいたします。

    • ryuji より:

      先程無事大阪から帰り着きました。
      今年も素晴らしい演奏を聞かせていただいてありがとうございます!
      あれだけの曲(モーツァルトのk229ラルゲット、バッハのリュート1番ジーグ)に取り組まれる一般愛好家の方がいらっしゃるところに、関西ギター界の歴史の厚みと成熟度を感じました。
      また演奏を聴かせていただける日を心から楽しみにしています。
      ありがとうございました。

      • 井谷正美 より:

        masamiより
        ryuji先生、この度はご一緒に演奏させて頂きありがとうございました。貴重な体験でした。
        まだまだ本番が先であるのに緊張感が襲ってきたり一人練習の音の寂しい事、、でも皆で演奏すると、こんな風になるだろうな~と色々想像しながらワクワク感も楽しんでいました。
        そして一回目の合わせの時、あらら、、そんな筈ではない、、今までなかった音達がいきなり押し寄せてきてテンポ外したり予想外でした。そして当日、出来はともかくとして本番は楽しく音楽に集中できた事は自分でも意外だったかなと思います。
        演奏する事で曲との向き合い方も違いますね。
        多分聞くだけに終わっていたら、あのセンチメンタルメロデイ、カンシオン、赤とんぼ、七つの子等々の曲達、、の良さを深く味わえなかったかもしれません。
        私にとって思い出深い大事な曲となりました。
        皆で一つの作品を作りあげて行く楽しさ
        そして何よりryuji先生の編曲の素晴らしさに感謝!!
        ありがとうございました。

        • ryuji より:

          masami先生
          こちらこそいつもありがとうございます。
          (パソコンのトラブルで返信遅れてしまい申し訳ありません)
          おかげさまで今年も守口で良い音楽体験をさせていただきました。
          コンサートの主役は、演奏家でも作曲家でも編曲者でもなく(ひょっとしたら音楽でもなく)お客さんと演奏家が共有した「あの空間と体験そのもの」という気がします。
          我々演奏家は「その場で音楽に対して誠実かつ無心であること」しか出来ませんが、あの日何も言わなくとも演奏メンバー全員が<そうであったこと>に対し感謝せずには居れません。
          またご一緒させていただける日をたのしみにしております。
          お越しくださった皆様にくれぐれもよろしくお伝え下さい。

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