え~みなさまお元気でお過ごしでしょうか?暑さには強いが、ヒマを持て余している松下です。
先日自宅に遊びに来たギターの友人A君が、「ブログ読んでる」「日常の話も面白いが、やっぱり音楽の話がいい」とおっしゃってて、なるほどそういえば最近少ない気がするな。少しはそういうのもやっとかないと、もし今日不慮の事故で死ぬようなことがあったら「松下の最後のブログは”そうめん”だった」などと言われる羽目になる・・・。
そこでとりあえず先月に開催したイヴェント《マスタークラスへのいざない》でお伝えした内容を覚書的に文章化しておこうと思う。だが何度も言っているように、これは正解などでは全くない。私個人がこの曲と向き合っている中で先生方から教わってきた、あるいは自分で気がついた【現時点で考えていること】に過ぎない。
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「セヴィジャーナ Op.29 」(J.トゥリーナ)
スペイン近代を代表する作曲家のひとり、Joaquín Turina (1882~1949) によって、1923年に書かれた初のギターオリジナル曲。アンドレス・セゴヴィアに献呈。ちなみにトゥリーナのギター・オリジナル曲はわずか5曲なので作られた順と併せて覚えておくとよい。これが同時代のカステルヌーヴォ=テデスコ、トローバ、ポンセなどになると、曲数が多いのでそう簡単な話ではない。
まず全体の曲構造を把握する。すごく大雑把に言うと、A,B,C,D,D,C,B,A のような、「時間が進み、ある地点までいくと逆行をはじめ、最初に戻る」というシンメトリックな形になっている。
A・・・冒頭から2/4アレグレットまでのラスゲアード部(1~31小節)
B・・・付点リズムのモチーフから始まる部(32~69小節)
C・・・3/4アレグロからのソレアレス部(70~87小節)
D・・・5度の跳躍によるカンテ部(88~121小節)
D’・・・4度の跳躍によるカンテ部(122~147小節)
C’・・・ソレアレス部(148~166小節)
B’・・・付点リズムのモチーフから始まる部(167~211小節)
A’・・・ラスゲアード部(212~234小節)
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冒頭はのっけから開放弦。ワーグナーにより和声法の限界と終焉をむかえた近代ヨーロッパにおいて、新しい語法、新しい響きを模索することが必要な時代であったともいえる。そんな折、ギターの開放弦の響きが、《新しい響き》として一般作曲家たちを魅了したことは想像に難くない。ギター曲を例にとっても、プーランク「サラバンド」のラスト、ヴィラ-ロボス「プレリュードNo.3」冒頭および「花を分ける」のギターパート、ヒナステラ「ソナタ」1,4楽章の冒頭など、枚挙にいとまがない。
この冒頭から10小節までを「2小節で大きな3拍子」で捉えてみてはどうだろう。スペイン音楽ではよくあるとり方だ(例:アルベニス「コルドバ」の冒頭など)。
それにつづく低音の単旋律メロディは、ラを主音としたフリギアで、シbが下降導音となっている。本来は ミファソ|ラシドレミレ|ドーシドシラー などというフレーズになるはずなのだが、途中で寸断、あるいは歌い止めるカットアップとコラージュの手法を使っている。これはトゥリーナ作品で頻繁に登場する技法なので覚えておくとよい。演奏に際し大切なのは、本来あるはずのフレーズを唄い切ろうという姿勢と、それが寸断されたというリアリティを奏者がしっかりと感じることだ。
17小節2度目のカットアップでは五度跳躍という、のちの重要なモチーフを予告編として登場させている。
つづく21小節目からのラスゲアードでは、ラが主音、Aが主和音という「この曲の正体」を明らかにする。技術的には「冒頭のラスゲアード部は①②③弦、ここからは②③④弦にかき鳴らしの比重をかけたほうがよい。」と故 O.ギリア先生がおっしゃっていた。
32小節からのB部分。付点モチーフは管、それと掛け合う下の和音は弦のイメージだろうか。35,41小節の和音もカットアップされている。つまり次の小節の休符を演奏することが重要である。46小節ミのオクターブはギターではなく、ティンパニーを鳴らしてる感じ。
53小節以降頻繁に出てくる「2拍目ウラ」の和音は、ダウンビートでなくアップビートで感じながら弾く。さもないとウラで弾く意味がない。ビックリおどかされるようなタイミング感覚で和音を感じることが大切。同様に59~64小節まで2拍目ウラの分厚さに注目する。
ぜーぜー・・・なんだ?いざ始めるとけっこうボリューミーだ。こんなはずではなかった。原稿料もらっていいレベルだな、これ。というわけでいさぎよく分けたいと思います。続きはまた今度・・・。
2026.8.15.