ささやかな表情

 

 

ギターにはささやかな表情(ニュアンス)がよく似合う、、、。

 

 

世の中には古典期から現代にいたるまで、さまざまな規模の”クラシックギター作品”が生み

出されている。

曲によっては<ダイナミックな表情><コワモテの表情><やわらかい表情><カッコつけた

表情><泣きの表情><可憐な表情>このほかいろんな表情があるし、もちろん一曲の中に

様々な表情を併せ持つものも多い。

おそらく演奏中大切になるのは、《表情の持続》もしくは《表情のいさぎよい切り替え》であり

作曲者の指示がない場合でも”音符(休符)そのもの”がそれらの表情を要求している。

それら表情の選択に”正しい””間違い”は無いにしろ、「こっちとこっちだったら、どっちの方が

聴いていて(自分が)楽しいか」という判断基準のふるいにかけながら、私は日々ギターを

弾いている。

 

 

(練習も本番もひっくるめ)演奏はつねに一回限りのものであり、表情を固定化させることは

しない。

考えてることは毎回同じだったとしても、さじ加減は日々変わる。

その変化に日々柔軟についてゆく、、、。

演奏中”たまたまの出来事”に、たぶん未知のおもしろいことへの突破口があり、そこに反応

しながら動いてゆく。コンサート形式の場合、お客さんはお金を払い”そのこと”に立ち会う。

演奏家は応えたい。ただ一回きりの儚い時間に「いかに活き活きと生きられるか」。

 

 

『ギター名曲170選A(ドレミ楽譜出版社)』からの選曲で先日コンサートを行なった。

私にとって大きなチャレンジであり、今回本当に多くのことを考えさせられた。

”模範演奏”ではなく、作品としての魅力をお客さんにどこまで伝えられるか。

C.ヘンツェの『ノクターン』、J.S.サグレラスの『マリア・ルイサ』、、、それらの曲の表情を

そっとなでることは、わたしにとって武満やブリテン作品の表情をそっとなでることとなんの

違いもない。

「なんの曲に向かい合っているか」よりも「目の前の曲とどう向かい合っているか」を大切に

してゆきたい、、、と常日頃思っている私が今回選んだ曲は以下のものであった。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

《黒田義正作ラコート・タイプを使用》

パヴァーヌ第二番(L.ミラン)スパニョレッタ(F.カローゾ)歌と舞曲(V.ガリレイ)プレリュードとアレグロ(S.デ・ムルシア)道化師の踊り(F.フェランディエレ)モデラート、アンダンティーノ、ワルツ(F.ソル)エチュード(N.コスト)アンダンテ・カンタービレ(A.カーノ)

《M.バルベロ・イーホを使用》

スペインの微風(J.フェレール)ニ長調のワルツ(F.タレガ)ノクターン、緑の木陰にて(C.ヘンツェ)マリア・ルイサ(J.S.サグレラス)白鳥の歩み(F.A.マルサグリア)大利根(武井守成)雨だれ(G.C.リンゼイ)

【アンコール】

エステューディオ(A.ルビーラ)ラグリマ(F.タレガ)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

コンサートの最中に、ふと「お客さんに助けられている」と感じることが最近多い。

先日もそんなコンサートだった。

気負うことのない”ささやかな表情”を、なかなかはじめから出せるものではない。

コンサートでそこにたどりつくまで数曲を要する場合もある。

そんなとき肩の荷を降ろすスイッチをお客さんがポチッと入れてくれる場合がある。

”ささやかな表情”を、始めからタメライも疑いもなく出せる心境になれる日がいつか来るの

だろうか?来るといいな、、、。

 

2019.4.5.

 

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ささやかな表情 への2件のコメント

  1. S.Hongou より:

    素敵なコンサート、ありがとうございました。

    ギターを習う、弾けるようになる? 
    その課程で、「通過点」として、もしかしたら振り返ることがないかもしれない美しい小品たち。これらの曲を、大切に弾くことが、本当の道なのかなあ、など生意気に思いました。

    タレガのラグリマのレッスンを受けさせていただいたとき、
    「12フレットのミは、どんなに願っても叶わない思い、みたいに弾いてください」
    そのお言葉が、離れません。

    そう弾こう、と思うとき、タレガさんの背中を遠くに感じるようにしています。

    美しい時間を、ありがとうございました。

    • ryuji より:

      Hongouさま

      みなさんが発表会などでよく耳にする小品、、、これらにあらためて魅力を感じていただけるような演奏をするには、やはり筋の通った”なにか”が必要になります。私自身にとっては、そこの確認がこのたびの大きな収穫であったと思います。
      楽譜の音符を追うだけでは不十分で、表記されていない《その曲の周辺》にフォーカスすることが大切です。つまり3拍子の舞曲の場合、ワルツでなくメヌエットだったらどんなことを意識するか、、、その曲が古典スタイルでなくショパンへの憧憬から生まれた作品ならその部分をどう弾くか、、、等々。今回のコンサートでは数年前にアップした”You Tube”動画よりもはるかにそれらのことがしっかりやれた気はしています。
      立ち会って戴き、本当にありがとうございました。

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