”薄明りの対話”

 

来たる2018年3月11日(日)姫路のギタリスト山田賢さんと私、松下隆二のふたりでコンサート

”薄明りの対話”を開催する(13:30開場/14:00開演)。

 

 

開催日がこの日になったのはたまたまである。福岡市内の会場である《甘棠館show劇場》が

この日しか空いていなかった。

”このふたりでやってみたい曲”を、半々ずつ出し合うことにした。

選曲にあたり、こちらから彼に伝えたことはひとつだけ。

「震災のことは意識しなくていいですから」

 

 

ふたりで持ち寄った曲をならべてみると、まさに現在の山田賢と松下隆二のふたりにしか

出来ないプログラムのような気がした。他の共演者と”そのときやりたい曲”をならべたら当然

違ったものになるだろう。それぞれの関係でのベストを尽くすのだが、今回のように自然に

無理なくピントが合った経験というのは私にとって初めてのことかもしれない。

 

 

歳はまだ20代後半であるが、山田賢さんはすでに自分の世界を手にしているミュージシャン

である。

このたび彼がデュオ用に提出した曲は6曲。ブラジルがあり、(音階的ではなく思想的に)

強く日本を意識したオリジナル曲があり、アルゼンチンがあり、アルメニアがある、、。

その山田賢ワールドと対話すべく、こちらから投げ込んだ曲が7曲。韓国がからみ、沖縄が

からみ、キューバがからみ、ブラジルがからむ、、、。

 

 

今回のコンサートに向けた新作の譜面を、年明けから出来上がる都度、山田氏はこちらに送って

くれた。”小林一茶” ”石牟礼道子” に対するオマージュとなっていたりすることから、現在の

彼が《俳句》というものから栄養分を摂っていることが見て取れる。

仕事の合い間をぬってその譜面と対話するさなか、石牟礼氏の訃報が飛び込んできたりもした。

今回まるで”筋の通った偶然”に導かれているような、不思議な感覚だ、、、。

 

 

演奏者にとっては、演奏を始めるまでが、曲を取り巻くさまざまなことと向かい合える貴重な

時間である。その時間に自分の人格を育て、いざ演奏が始まったら我々ミュージシャン

に出来ることはなにもないのかもしれない、、、。

 

そんなことを気付かされた、この度の企画である。

 

 

2018.3.2.

 

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”薄明りの対話” への4件のコメント

  1. S.Hongo より:

    とても楽しみにしています。
    山田賢さんの音楽は、記憶を揺さぶる、不思議な力をお持ちだと、勝手に思っています。

    山田さんも、弱者の立ち位置から、様々なことを、お考えになるのだろうと。

    鎮魂の日ですが、音楽を楽しみ、散華となれば、素晴らしいことがきっと起こると、静かに待っています。

    • ryuji より:

      S.Hongoさま

      いつもコンサートに足をお運びくださり、本当にありがとうございます。
      コンサートというものにおいて大切なことは、具体的なメッセージをお伝えすることではなく、演奏者の思想や美学を押しつけるものでもなく、やはり音楽の時間だと思うのです。
      その音楽体験を通じて、お客様がそれぞれに(些細なことでもいいのです)なにか「今まで気にしていなかったことに気付く」ことにつながれば、演奏者としてこれにまさる喜びはありません。

  2. S.Hongo より:

    「薄明かりの対話」

    非常に穏やかでいて、非日常でありながら、「生きていくこと」の見えるコンサートでした。

    山田賢さんの、独特な世界観と、「かそけきもの」の声を聞く、ということは、松下先生の中にもある世界だなと、感じました。

    禅があり、俳句があり、詩がありました。

    手の中に受け止めた曲。
    コミタス Kagavik (アルメニア)
    S.ロドリゲス キエン・フエラ(キューバ)
    雪月夜 山田賢

    よい時間でした、ありがとうございました。

    • ryuji より:

      Hongoさま

      今日もコンサートに足をお運び頂き有難うございました。

      前日に彼と再会しリハーサル、、、。食事をし、話をする中で、私が日常あまり感じることのない”今の20代ならではの鋭い感性”。
      そしてむかえた今日の本番は大変刺激となりました。
      フットワークの「軽くなる部分」と「重くなる部分」は、年齢や経験の影響で変化していくものなのかな?
      彼の持つ軽い部分が、自分をかえりみたとき非常に重いと感じたし、逆もありました。
      その上でお互いに敬意をはらいつつ、今回影響を受け合ったと思います。

      別の言い方をすれば、影響されて若返った部分と、ついていけずに自分の歳を感じざるを得なかった部分と、、、(苦笑)。
      なんにせよ私にとりましては、とても楽しい時間でした。

      お付き合いくださり有難うございます!

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