コメンテーターへのコメント

 

事の経緯は8月20日。東京都世田谷区で行われたコンサートで、日野の指導を受けた中学生約40人がジャズを演奏した。その際、日野がドラムの男子生徒のスティックを取り上げ、顔面に打撃を加えたと一部で報じられた。~『スポーツ報知2017.9.1.』

 

文春が証拠動画付きで報道し、先日から話題になっているジャズ・トランぺッター日野皓正氏の

《ビンタ騒動》に対し、コメンテーターと呼ばれる人達が以下のような見解を出した。

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「感情をコントロール出来ない人が指導者なのは驚き」(フィフィ)

「僕も子役さんを扱っていますけど、たたかない、たたく必要がない、今のご時
世たたいちゃ駄目」「熱いのと手を上げるのは別」(坂上忍)

「暴行までいくのは良くない。しかも、動画でどこでも撮影されている時代。み
んなが見ている前で暴行をしてしまうのは…」「20年前なら許される事でも駄
目だなと思う」(古市憲寿)

「言葉よりも音で伝える仕事ですから、不器用な人と不器用な人がぶつかって、
ステージの上でこうなってしまった。手が出てしまったのはすごく残念です」
(高木美保)

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マスコミが騒ぎ立てる一方で、その中学生本人と親は”場を乱したこと”に対し既に謝罪して

おり、今後も日野氏の指導のもと活動を続けてゆきたい、とのコメントを出しているのでもはや

穏便に解決しており、周りがとやかく言う問題ではない。

 

 

今回のことで私がいささかグロテスクに感じるのは、俗に”コメンテーター”と呼ばれる人達の

感覚と存在意義についてである。まあ、少ない情報を頼りに番組の中で即効性のあるコメントを

出さなければいけない立場なのはわかるが、物事の表層だけを見てせっかちに結論まで辿り着く

ことを一体世の中の誰が必要としているのか?

 

 

あと音楽というものの本質を、上に挙げたコメンテーター全員が理解していない。

今回の件を、例えば40人の仲間が協力し合いながら畑をたがやしている状況だと考えてもらい

たい。日野氏の指導のもと、広い荒地を耕し畑を作り、そこにみんなで作物の種を蒔いた。

雑草を採り、水をやりながら仲間と月日を重ねた。やがて芽が出た。その時仲間の一人が突如

クワで畑を掘り返し始めた。みんなで長い年月をかけた畑がみるみる壊れてゆく。

日野氏は駆け寄ってクワを彼からとりあげた。すると今度は引き続き手を使って掘り返し

始めたのだ。日野氏はビンタすることでようやく彼の行動を止めるに至った、、、。

 

 

上記のコメンテーターたちにとって”音楽”というものは、人生を生きる上で、単なる飾りものに

過ぎないのではなかろうか。

だが誠実に音楽をする人間にとって音楽とは、畑であり、社会であり、言語であるのだ。

 

 

その後のコメントをみても日野氏は冷静であり、決して「感情をコントロールできない人」

ではない。日野氏の行動が”暴行”だろうか?音楽にとっては、そのひとりの中学生のとった行動

の方がはるかに”暴行”の言葉にふさわしい。

「熱いのと手をあげるのは別」と言ったコメンテーターは、畑が全滅するまでに言葉で説得し、

やめさせる自信があるのだろうか。

「言葉よりも音で伝える仕事ですから、不器用な人と不器用な人がぶつかって、ステージの上で

こうなってしまった。手が出てしまったのはすごく残念です」

ちがう。みんなで作り上げる大切なステージだからこそ、日野氏はそうやってでも止めざるを

得なかった。あと”音で伝える仕事”の人間が、《言葉のコミュニケーションに関して不器用》

だと決めつけていないか?

私の仲間ミュージシャンを見回すと、実際言葉の面でも雄弁なひとの方がはるかに多い。

 

 

音楽をやるひとにとって、音を発している時点でそれは既に言語であり、アンサンブルはその場

の空間を共有した会話なのである。演奏に耳を傾ければ、その人がどんなにやさしいひとか、

どんなにきびしいひとか、繊細なひとか、ズボラなひとか、感じとれるものである。

 

 

今回の件に関して、音楽というものがここまで誤解されていることを感じるコメントばかりで

なければ、私のこんな駄文は全く必要ないし、そんな世の中だといいなと思う。

 

 

 

「演奏前にドラムをたたき始めたから『バカヤロー』って怒ったのに、まだやめないからちょっとたたいた」

「うまいんだよ。ちょっと周りとうまくいっていないみたいだけど」

「小澤征爾さんのコンサートで、小澤さんが指揮する前から指揮する奴はいないだろ」

「それで済んだ話なんだ。お前ら記者が騒ぐと、お前らがその生徒をいじめることになるんだぞ。周囲から『あ、お前が例の生徒…』ってなるんだから」(日野皓正)

 

2017.9.2.

 

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コメンテーターへのコメント への3件のコメント

  1. 伊藤久美 より:

    松下先生、11月26日まで福岡でのライブは無いのですか?
    そろそろ松下先生のギターを聞きたいのですが。。。

    • ryuji より:

      伊藤 久美さま

      おおっ!おひさしぶりです。
      旦那さん、元気ですか?

      福岡では11/26の二日前11/24(金)に箱崎のもも庵にて、やなヤンと”いつものやつ”やります。
      福岡ではそのくらいかな。シャイなもので、、、。

      • 伊藤久美 より:

        えっ??何?良く聞こえない。。。
        旦那は最近、ムカつくほど元気なんよね、、、
        ライブは行きますので!
        体調に気をつけてお過ごし下さい(๑˃̵ᴗ˂̵)

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