アランブラ・メモ(その5)

 

前回申し上げたキーワードに関して「?」の方も多数いらっしゃると思うので、解説を。

 

そのほとんどが私にとっての個人的なものだとあらかじめお断りはしておくが、それを敢えて

公(おおやけ)にすることの意義は如何ほどであろうか、正直私にはわからない。

だが私が述べることの9割以上が他の方にとってムダだったとしても、何か一つぐらい

「トレモロで悩む方」の突破口となる要素がその中に含まれているかもしれない。

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*『音色の問題は捨てろ』

トレモロをスピードアップ出来ない時期があった。

そんな時、名手たちの録音を聴いて、その中の幾人かの”音の粗さ”に軽いショックを受けたこと

がある。「なんだ、これでもすてきなトレモロとして成立してるじゃないか」というわけだ。

 

*『 a m i はお茶漬けを食べるようにサラサラと』

”音色”は捨てるが、その分”音量のバランス”には気を配る。

a m i は弱過ぎても困るが、トレモロの調子が悪い日は私の場合、概して強すぎる傾向がある。

そんな時は《右腕とギターとの接点》を強く圧迫していることが多いので、そこの部分の圧力を

まず抜いてやる。するとa m i は比較的お茶漬けのようにサラサラと、、、。

 

*『 a m i が何弦を弾くかによって、ギターと右腕との接点を動かす』

例えば①弦をトレモロしていてメロディーが②弦に移弦した時、①弦をひっかけるミスが

起こりやすいとすれば、その原因は移弦した瞬間に《右腕とギターとの接点》(また出て

きた!この言葉、、、)が動かずに固定されたままになっているからである。

要は接点をずらすことで「①弦トレモロ用の右腕設定」から「②弦トレモロ用の右腕設定」に

切り替える必要がある。

その際②弦を見て、そこが弦の端(すなわち①弦)だというイメージを持てるとよい。

 

* 『p を表情ゆたかに歌わせる』

私はアランブラを含むトレモロ曲において、音楽的表情に関するアプローチを担っているのは

a m i ではなくp の方だと思っている。もちろん旋律線の表情を軽視しているわけではないが、

p による伴奏パートの方が、この曲における音楽表現の比重としては、より大きいものと私には

感じられる。

一拍目のオモテはバスとしてしっかり響かせることが肝要だが、二拍目オモテが表現の要で

ある。二拍目オモテに重心をたっぷり載せて弾くために、ところにより②弦を p でアポヤンド

することもある。三拍目オモテは二拍目オモテの勢いの中に入っていることが大事で、二拍目

オモテほどには強調しない。

各ウラはそれぞれのオモテに準ずる。決してオモテを越えない。

 

*『 i を丁寧に大振りする』

いかにも誤解を誘発しそうな言い回しであるが、これは”強烈に”意識する類のことではなく、

時々”ほんのうっすら”と気にかける程度にしている。

「a m i が団子になり、i とp とのあいだにすき間ができる」場合は、” p が遅れている可能性”

も勿論あるが、一方で” i がハシっている可能性”も併せて検討してみた方が良い。

ギタリストのコンサートに行ってトレモロ演奏を見ている時に、i だけが伸びきったように

指を振っているひとをご覧になられたことがないだろうか。あれはおそらくi がハシらないよう

指を伸ばすことでタイミングを(無意識に)調整しているのではなかろうか。

 

*『右手首を上げ過ぎず、表面版に近づける』

これは完全に私個人の問題。

右手首と表面版の距離はギタリストによって本当に様々だが、私は20代の頃、手首を割と高め

に設定していた。高めだと音の質は細く繊細になるので、そのタイプのギタリスト(例:

ジュリアン・ブリーム、福田進一)はアポヤンドを効果的に取り入れることで、演奏にダイナ

ミクスの幅を持たせていることが多い。でなければチェンバロ的な音響の演奏になる。

手首を低めに設定すると平均的に太めの音になる。

私の場合高めの設定だと、より空振る確率が高かった。でもそれでばっちり弾く人もたくさん

いるので、これは私の個人的問題、、、。

 

(つづく)

 

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